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金瓶梅の一のレビュー・感想・評価

金瓶梅(1968年製作の映画)
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凋落する映画界の混沌が生んだ怪作。異常な映画。なにが異常かといえば、伊丹十三の悪ノリ演技も異常といえば異常だし、錯乱する物語進行もそれはそうなのだが、若松孝二がピンクのスタッフを引き連れて大手の松竹でこんな映画を作っちゃったことが何よりも異常だし革命的なのである。「当時の金で三〇〇〇万くらいは使ったんじゃないかね。東映撮影所を借りて、中国の大セットを作った。クレーンを借りても一日で一カットしか使わなくてね、クレーンに乗って遊んでましたよ。移動車も五〇メートル動かせって言ったりしてね。大監督になったつもりでいました。気持ち良かった、いま考えても。」若松は自著『俺は手を汚す』でとても楽しそうに語っている。同じ年には石井輝男が東映ポルノ路線を本格的に開始しているそんな時代。
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