普遍的なテーマを扱った佳作。
根底を流れるのは家族愛の物語なんだけれど、そこに個の欲望とか死への恐怖とかレイヤーの違う情報が乗っているため「無茶苦茶よくできてんな」とまでは言えない出来になっている気がする。
ドリームワークスといえば稀代の名作バッドガイズがどうしても思い浮かんでしまうので、今ひとつという感が拭えないのが残念なところ。
また物語のキーマンであるところの"ワンコ"がテーマをベラベラと喋ってしまうところも過剰なサービスを感じる。
ただし3Dアニメーションの質は非常に高いし、手描きアニメーションへのリスペクトも随所に感じられ、シェーディングやコマ落ち表現などの演出はバシバシ刺さってくる。流石の一言。
そして特筆すべきはオオカミの存在だ。全編を通してわりとポップでキャッチーな世界観の中に、明らかに異物感のあるドゥーミーなデザインをブチ込んでいる。もう完全に死そのものなのよね。大変良い。
不満点はあるが総じてきっちりまとまった良作。おすすめです。
