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マルセル 靴をはいた小さな貝のinazumaのレビュー・感想・評価

3.2
大好きな映画の要素である「ストップモーション」と「フェイクドキュメンタリー」のコラボがついに実現!

NHK教育テレビの「ピタゴラスイッチ」のミニコーナーで流れてそうな作品。似たような雰囲気の作品で昔『クーキー』というのがありました。こちらはストップモーションではなく「人形劇」と実写を組み合わせたクリエイター魂炸裂映画でしたが、技術的な面での感動はあったものの、そこ止まりというか、物語そのものは正直退屈で映画館でウトウトした記憶が。本作マルセルもほぼ同じで、アイデアや工夫が素晴らしいだけに、やたら長く感じてしまってもったいない。こういったアニメーションの世界に"実写"の人間視点が加わることでマルセルやクーキーの世界がより小さく感じてしまうのも退屈になる要因の一つとも思いました。
実写の人間視点が一切ない『KUBO』や『JUNK HEAD』は技術だけでなく物語とその世界観にもどっぷり浸れました。
小さなマルセルと仲間たちが、人間の力を借りずに大きな世界を冒険する物語にしても良かったし、というかそっちが観たい!

ジャム(ハチミツ?)を靴に塗って垂直壁歩きをしたり、埃を雪に見立ててゲレンデやスケートリンクを表現したり、アイデアや見せ方は素晴らしいと思います。

いったいどういう経緯で生まれた生命体なのかは謎のままですが、そんなのどうでもよくなるぐらいマルセルの声と動きの可愛らしさにノックアウトされました。ストップモーション映画で悶絶したキャラといえば『JUNK HEAD』の3バカ兄弟のちっこい奴でしたが、この度マルセルが見事出し抜きました。
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