いろいろ混ぜすぎなうえに難解…
なんかもうやりたい放題でむしろ心地良かった。
時は米ソ冷戦の真っ只中。そんなのお構いなしにウェス御用達のお洒落でポップなリゾート的ビジュアルで包み込み、コメディ、恋愛、SF要素をふんだんに盛り込んでいます。『グランド・ブダペスト・ホテル』でも暴力や死をウェス・フィルターに通すことで"外見だけ"気品のあるお伽話のような仕上がりになってました。これはウェス流の皮肉、これこそがウェス作品の作風なのか？？
宇宙人を目撃しただけで大人子供関係なく検査・尋問・隔離を強いるところも見映えはコメディタッチにテンポ良いですが、理不尽で容赦ない時代であることを淡々と見せつけられてるようでやっぱりウェスの作風には底知れない恐怖があると感じました。
これに加えて物語の複雑な構造が良い意味でも悪い意味でも後を引きます。構造としては｢本編｣と｢舞台裏｣で大きく2つに分けられ、並行して進行していくのですがこの｢本編｣と｢舞台裏｣が入り交じりあたかも｢本編｣かのように見せてくる場面なんかも登場し、何がなんだか分からなくなってきます。解釈の余地を広げてくれてるのは大歓迎なのですが、物語に集中しづらくなるのも正直なところ。
過去に観た『ムーンライズ・キングダム』と『グランド・ブダペスト・ホテル』がとても分かりやすい物語だっただけに、本作では面食らいましたが、本作が1番見応えあったというか、心に残ったような気がしました。
俳優陣が豪華で楽しい。『グランド・ブダペスト・ホテル』でコワ～い殺し屋を演じたウィレム・デフォーが本作でも怪しい演技教師をやってて、改めていろんな監督に愛される怪優だなとしみじみ。『ハウス・ジャック・ビルト』の狂いっぷりが記憶に新しいマット・ディロンも出てる！今回は優しそうな修理工で安心しましたが、やっぱり車をイジってる姿を見てるとゾクッとする！
そしてジェフ・ゴールドブラムも！
…出番あれだけかい！！
