rage30

13人の命のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

13人の命(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

タイのタムルアン洞窟の遭難事故を描いた作品。

事故の発生から遭難した少年達を発見するまでは意外と早い。(約50分)
その後の救出劇に100分もの時間を割いてる事からも分かる様に、本作最大の見所となるのが、麻酔を使った救出作戦である。

「救助者を麻酔で眠らせ、“物”として運び出す」
作戦の概要自体は伝え聞いてはいたが、それを実写映像として見れるのが面白い部分。
改めて異様な作戦だと思わされたし、作戦内容を本人や保護者に伏せていた事にも驚かされた。
結果的にパニックを抑えられ、全員を救出出来たから良いものの、「もしも…」を考えると恐ろしいものがある。

個人的に印象深かったのは、救出中に道を見失ってしまったクリス。
彼の動揺を察してハリーが交代を申し出るのだが、そこでクリスが自分の事よりも、少年の命を第一に考えるのが良かった。
序盤でリック達を蔑ろにしたタイ海軍との対比にもなっているし、決して彼が無責任な人間でない事が分かる、最後の涙にも泣かされる。

どの様な状況になっても、冷静で合理的な判断が出来る事。
それが洞窟ダイビングに必要な能力であり、彼らの強さでもあるのだろう。
そして、そうした素養がある人間だからこそ、「人を麻酔で物にして運ぶ」という倫理観を超越した発想が生まれたのかもしれない。

寡黙なヴィゴ・モーテンセンと愛嬌のあるコリン・ファレルら、スタントなしで演技してみせた俳優陣も良かったし、タイ人の活躍も織り交ぜて、単純な白人の英雄譚にしないバランスも見事。
敢えて不満点を言えば、救出を待ってる間の少年達の様子や、即席ダムの効果をもっと知りたかった気もするが、そこまでやると更に時間が長くなるので仕方なしか。
その辺は、これからドキュメンタリーの方を見て補完しようと思う。
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