ポーランドの巨匠イエジー・スコリモフスキが7年ぶりに長編映画のメガホンをとり、一頭のロバの目を通して人間のおかしさと愚かさを描いたドラマ! 2022年・第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で審査員賞を受賞。
愁いを帯びたまなざしと溢れる好奇心を持つ灰色のロバ・EOは、心優しい女性カサンドラと共にサーカスで幸せに暮らしていた。しかしサーカス団を離れることを余儀なくされ、ポーランドからイタリアへと放浪の旅に出る。その道中で遭遇したサッカーチームや若いイタリア人司祭、伯爵未亡人ら、さまざまな善人や悪人との出会いを通し、EOは人間社会の温かさや不条理さを経験していく…。
ロバ目線でのロードムービー! 動物虐待禁止のお触れが出て、サーカス団にいられなくなったEO。それでも平和な暮らしが保障されるかと思いきや、搬送トラックが事故にあい、街を放浪せざるを得なくなり…。
放浪するEOに好意的な人もいれば、動物というだけで悪意を抱く人もいる。中には、サラミの原料としか見ない人もいて、人間が牛耳る街は、動物たちにとって、この上なく居心地が悪い。“働かざる者食うべからず”の諺通り、稼げない動物は、生きることさえ許されず、人間のご都合主義に翻弄されて、その一生を終えることになるのは、動物愛護が叫ばれる今日もあまり変わっていない。
