このレビューはネタバレを含みます
うーん、合わなかったかなあ…
一番の衝撃は、映画の内容ではなく、モデルでインフルエンサーのヤヤ役の魅力的な女優チャールビ・ディーンが2022年8月に亡くなっていること…。過去の交通事故がもとで脾臓を摘出していて、それが影響した敗血症で。
wikiによると「犬猫の口の中に存在する細菌カプノサイトファーガを原因とする細菌性敗血症のためニューヨークの病院で死去、32歳」とのこと。
同じくwikiの脾臓摘出の項目には「脾臓摘出による影響は日常生活においてはほとんどないが、稀に細菌感染症の重症化を生じる危険性もあり、肺炎球菌ワクチンの接種等を勧められることも多い。」とある。
めったにない大きな事故に遭い、結果その影響で、めったにない危険に晒されて亡くなってしまったなんて、何重にも不運が重なっていて、気の毒すぎる。魅力的だったからよけいに。いろいろ思いをはせてしまいました…
最初に水着姿になった時、お腹におおきな傷痕があったのは、リアルな事故の手術跡だったんだなあと…
映画は、ラストを観客に投げるタイプ。アビゲイルはヤヤを殺したのか、思いとどまってもとの世界にまた逆転する立場で戻ることにしたのか、カールは間に合ったのか、間に合わなかったのか。いく通りにも結末を想像できる終わり方。でもカールをつなぎ止めることにも限界はあるから(無力だった男性たちも島で生き延びるために成長するので)、どのみちアビゲイルの天下はまもなく終わるだろうし…。
途中、価値観の大逆転が起こるけど、そのあと起こっていることは、結局持つものが持たざるものを搾取する構造で、つらみ。
モデル業界を舞台のひとつにしたことで、一般社会とは違う男女の立場の逆転が起こっていて、女性優位の世界で、カール(男性モデル)は収入も低く、セクハラも受け、軽んじられた扱いをされる。島に行ってからも、異性の権力者に若さと美しさを買われる。身も蓋もない…
まったく情報を入れずに観たので、吐瀉物と汚物のシーンが長かったのきつかった…
カール役のハリス・ディキンソンは先日観た『ザリガニの鳴くところ』にも出ていて、イギリス人なんだけど、アメリカの小さい町で、町で一番かっこいい金髪白人のプロムキングとかになるイメージの俳優さん。基本人生がイージーモードであまりなにも考えてない感じに見えるキャラがハマっている…いい意味で無個性というか…バリーコーガンとかティモシーシャラメみたいな超絶個性はないんだけど、それが個性なのかな?
映画の内容がそこまで好みではなかったこともあり、内容とは関係ないことをいろいろ考えた作品でした。
これがカンヌのパルム・ドールかあ…うーん
追記。
後日、鑑賞済の人が、島で立場は逆転したけれど、アビゲイルが一時は最下層のまま固定されそうになったのに反抗してキャプテンにおさまったのは、今どきの映画らしさでは、という話が出て、たしかに!と思いました。