鹿苑寺と慈照寺

逆転のトライアングルの鹿苑寺と慈照寺のレビュー・感想・評価

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)
3.9
モデル、インフルエンサー、大富豪、チップ至上主義の客室乗務員、トイレ清掃員たちが乗った豪華客船。そんな豪華客船が難破し、無人島に漂着したことで彼らのヒエラルキーは逆転する。

本作は第1部から第3部まである。
第1部でモデルのカールとインフルエンサーのヤヤのお金にまつわるいざこざ、第2部で船内、第3部で無人島を描くという構成になっている。

全編にわたって皮肉を効かせた作風になっている。冒頭からしてバレンシアガとH&Mといった安価なブランドと高級ブランドを小馬鹿にするシーンから始まり、不謹慎が大好きな僕には一気に引き込まれる。

そこから上述したカールとヤヤが「どちらがレストランでお金を支払うか」という男女の役割論争が延々と続く。これがかなり長い。面白いけど長いなあと思いながら観ていたけど、それはラストまで観ると、なるほどと納得できる。第1部の展開がすべて第3部のフリになっている。

第3部では漂着した無人島でサバイバルをする羽目になるが、金持ちたちはサバイバル技術を持っていない。そこで登場するのがサバイバル技術を持ったトイレ清掃員のおばさんだ。ここで主従が逆転する。

無人島ではお金も過去の栄誉も関係ない。生き残る術を持つ者だけが優位に経つ。男女の役割ではなく、「何ができるか」が重要。全員が一斉におばさん側についた瞬間は面白かったし、爽快感もあった。

本作の皮肉の最たるところはラストだと思う。ブラックコメディ的にヒエラルキーの逆転を描いたが、やはり現実は甘くねえ。やや唐突な終わり方だったけれど、やりたいことはめちゃくちゃ伝わる。「この権力構造はそう簡単には覆らないぞ」という示唆だろう。

本作で笑ったところはいっぱいあった。特に第2部の船内の後半から急にギアを上げてくる。とにかくゲロ、ゲロ、ゲロ。ゲロ吐きディナーのオンパレード。さすがに笑ったけど、ほぼ満員の会場で笑っている人はそんなにいなかった。なぜだ???笑
揺れる船内でおばはんがゲロを吐きながら上下に揺れ、バックで激しいロックがかかっていて、さながらヘドバンみたいになってたら笑うやろ!!!

あとはやはり「これ、うちの製品じゃないか!」と「愛してる。魚をくれ」かな。しばらく笑いが止まらなかった。

不謹慎、最高!!!

以下は個人的なメモ
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ゲロ吐きディナー

揺れる船内のトイレでゲロを吐く女。バックにはロックがかかっていて、ヘドバンしているみたいに見える。

「これ、うちの製品じゃないか!」

「愛してる。魚をくれ」

前半が丸々、後半のフリになってる。

地位を使って乗組員を追い出す。
無人島でその逆の立場に。
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