Yutaka

逆転のトライアングルのYutakaのネタバレレビュー・内容・結末

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

ジェンダーバイアス、環境問題、資本主義を上手くコケにした作品だったけどそれに尽きるというか、言説の巧さはあるけど映画的な巧さはあまり無い。
おそらく1番のアクション的な見せ場になりうる海賊の襲撃シーンをカットしているのはまあシナリオ上理解出来るんだけど、その代わりのゲロ祭りは分かりやすい阿鼻叫喚とはいえキツかった。悪趣味は見せ方が重要。Bad Tasteではなく、Lack of Tasteだった。『バビロン』以上に悪趣味の扱い方が悪趣味だった。
かなり冗長に感じたとはいえ、それまでの社会が消え、規範の社会的地位が存在しなくなった瞬間にヒエラルキーが逆転する気持ち良さはあった。そして、新たな社会が生まれようがいつでも権力者はその座を保持しようと躍起になる。資本主義にも共産主義にも限界がある。社会における全ての役割からどう逸脱するか。
個人的にはこういう分かりやすい風刺よりも、人間関係における機微を切り取った風刺の方が好みなので、単純に作家性が合わないのかもしれない。ただ、音楽の使い方は良くてSuicide使ってるの最高だったし、ラストのFred again…(貴族出身)を起用しているのは絶対そういう意図がある。
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