このレビューはネタバレを含みます
逆転のトライアングル
伝票のやり取りからの気まずさ
か、更にエレベーター地獄。
ホテルでの会話。ここらで、もうすごい特殊でフレッシュな関係性の面白みがあって、ここを経てるから後々のお互いの立場や距離感を自然に注力して見られるのかなと。
船でひどいこと起こるんだけど、
くそまみれの絶望も、船長とオッサンの諦念を弄ぶような絶望も等価で描かれていて、こちらは画面越しに気まずい雰囲気を伺ってるだけ何だけど、その共感性は結局現実の世界と地続きな事に薄々気づいてる気まずさでもあるのかなと。
ラストのカール走って四つ打ちの音楽で無理やり、何と無く感動させられた気になるんだけど、その骨子に否定出来ない何かが確かにある。
政治的な皮肉やルッキズム、既得権益、ルサンチマンや色々な要素がちゃんと読み解けばあるのかも知れないが、上っ面だけで楽しんでも存外に面白い。
本当は怖いおとぎ話みたいなものを凝縮したような、それでいてこの空恐ろしい話を描き切る監督は、人を信じているからこその観察眼なんだと思う。
そしてどこか美しい。