おなべ

CLOSE/クロースのおなべのレビュー・感想・評価

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
3.8
◉無垢な悲喜に、胸を締め付けられる。

◉A24配給作品。13歳の親友レオとレミの身に起きる悲劇と人間模様を描いた作品。第80回ゴールデングローブ賞にて、〔外国語映画賞〕にノミネートしている。

◉映像、演出、演技がとにかく繊細で、そのどれもがリアルな息遣いだったのが印象的。真似しようと思っても真似できないリアリズムがここにあった。

▼映像
ベルギー郊外の色鮮やかな田園風景や町が、とにかく美しく、残酷な現実とのギャップを余計に感じた。本作が撮影されたベルギーとオランダ、思わず足を運びたくなるような美しさ…。

▼演出
心理描写が秀逸。10代特有の美しくて繊細な瑞々しい感情、それから、周りの目を気にしてしまう空気感やセクシャルに関する葛藤を、少ない掛け合いとカメラワークで見せる。役者の演技力は勿論だけど、このリアルな息遣いは演出力にあると思う。

▼演技
レオとレミ役の2人。自分でも分からない誰にも打ち明けられない感情に戸惑いを隠せず、不安定さが露呈している様子を見事に体現しており、演技とは思えない等身大の表現力に引き込まれた。











【以下ネタバレ含む】











◉辛く苦しい現実を前に、自分でもうまく感情の整理ができていないレオ。罪悪感に苛まれ、心が締め付けられる様子が見ていて辛かった。だからこそ、真実を打ち明けられた時に涙が溢れたレオを見て、こちらまで涙が溢れた。きっとレオは成長しても、レミの事を一生忘れないんだろうな…。
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