いの

クライムズ・オブ・ザ・フューチャーのいののレビュー・感想・評価

3.8
ここまでの進化の過程とか、これからの進化とか(好むと好まざるとにかかわらず)、とても想像力をかきたてられる映画だった。いきものは、環境に適応していかなければ淘汰されてゆくのだから、こういったことを想像してみるのはアリなんじゃないかと。


ヴィゴの恍惚とした表情が忘れられない。官能に満ちた表情。レア・セドゥの涙を浮かべた悦びと哀しみが混ざった表情も。クリステン・スチュワートに至っては、小声で話すだけで昇天しちゃいそうな歓びを垣間見せる。(追記:クリステンが最高によい)


痛みのない世界とはいえ、人は痛みを想像して官能に変えているんじゃないかと思った。痛みと官能とは近しい関係なのだと気づいたことも自分なりの発見。カラダのあちこちにメスをいれて(つまりアナをあけて)、痛みに似た官能を味わう。ヴィデオドロームが腹部への1カ所のアナならば、今作では腹部のみならずあちこちにアナを開けることが可能。それを深いところで受けとめるカイカン。もうこうなったら性器は退化し不要になるのだろうけれど、そしたら子はどうやって創られていくのだろうかと、わたしの妄想はとまらない。


監督が何十年もあたためてきた構想だとどこかで目にしたけど、たしかに制作されるなら今がその時、という気がした。怖そうだからと観に行くことを躊躇し勝手に怯えてたけど頑張って観に行けて良かった!
いの

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