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ノック 終末の訪問者のNAOKIのレビュー・感想・評価

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)
3.7
もういい加減シャマランを「シックスセンス」から解放してあげて…って話(笑)

シャマランといえば「大どんでん返し!」「衝撃のラスト!」と思われがちですがそれが奇跡的にうまくいったのは「シックスセンス」だけ…もう20年以上前の話…その後の彼の作品群を観てもあれは「たまたま」だったんだとわかります。偶然なんです。

だけどシャマランはとにかく映画が上手い!
人を釘付けにする映画的技術は天才的だと言っていいです。ただストーリーにおいて過程は丁寧に魅力的に作るのに結末にはあまり興味がないように見える。なんなら結末つけなくてもいいやくらいに思ってるみたいに…

「ハプニング」なんかは典型的…
風が吹くと人々が次々と自殺してしまう怪現象に見舞われる人類…訳がわからないまま逃げ惑う人々…とにかくそのストーリーからは目が離せないし人々が死んでいく描写もひたすらエグい…ところがなんとも微妙な結末…
おれはこの映画大好きなんだけどみんながブーブーいうのもわかります。やはり結末はバシッと決めて欲しい…
でもこのあたりからおれはシャマラン映画の見方を変えました。結末は気にしない…とにかくその過程を楽しむ…サスペンスとしては申し分なく面白い映画ばかりじゃないか?

前作「オールド」はあまりに貶されるのでシャマランきちんとオチをつけました。
面白すぎる過程に対してそのオチは微妙でおれなんか無理してオチつけなくて良かったのに…なんて思いました。時間が異常なスピードで過ぎるビーチで起きる様々な人間模様…それだけで大満足の映画でした。

そして今作「ノック 終末の訪問者」

やはり期待通りオープニングから全編に続く訳の分からない緊張と恐怖…
家に押し入ってくる4人組(バウティスタ素晴らしい!)が狂ってるわけでもないし狂信的な感じもない…やりたくはないがやるしかないんだ…だけど諸々の「しばり」がある…という分からない感じが見事…
やっぱりこういう理不尽なスリラーを作らせたらシャマランは上手い!

だけど…(笑)

だけど結末を気にしないと言ったおれでもお話が進むにつれてこのお話にどんな落とし所をつけるんだ?シャマラン?と思わずにはいられませんでした。

「オールド」と同じく一応の謎解き(考察)と結末はちゃんとあります。
しかしそれを聞いて「あーそういうことだったのね!」とはならなかった。
おれの知識不足が原因かも?と映画を観た後に調べてみたけど…まったく意味がわからなかった。
シャマラン君…結末をつけるのはいいけど途中のワクワクを激減させるような結末はつけない方がマシとは思わないのか?

世界の終末から人類を救うためには家族の1人を選んで殺さなければならない…

このスリラーに納得のいく結末って誰か思いつく?無理でしょ?
そもそもこんなお話をなぜ映画にしようと思ったのか?
終末を止めようと家に押し入ってくる連中と選ばれた家族…その攻防に合わせて世界で起こるディザスターも描けるじゃん!最高!
きっとシャマランはこう思ったのでしょう。

せっかく仲直りしたシャマランだけど、いつものようにカメオ?出演しているシャマランの嬉しそうな顔を見ると思わずカッとなりました(笑)

「シックスセンス級の結末を別に期待しないけどせめておれが君を擁護できるくらいのお話にしてくれ〜さもないと君の天才的な演出技術が台無しになってるじゃん」

みなさん、シャマランの映画を観るときはシックスセンス的な大どんでん返しとか衝撃の結末といった呪縛から彼を解放してあげてサスペンスの作り方のみを楽しんで観てあげてください。

…てなわけにはいかないか?(笑)

少なくとも始まって映画が終わる直前まで最高に面白い映画だったのです!それでいいじゃん…

…てなわけにはいかない?(笑)
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