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ノック 終末の訪問者のblacknessfallのレビュー・感想・評価

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)
3.4
シャマランの最新作。
ここ10年ぐらいシャマランは成熟期に入った感あるな。身の丈にあったパジェットで自分らしい映画を量産してる印象。
一時期、予算をもて余してハズシまくった大作を撮ってしまったことで掴んだんだろうな、自分のサイズ感を。
ミニマムな方が本領発揮できるタイプの監督っているよな、ポン・ジュノなんかもハリウッドで撮った金のかかった微妙な映画だったし。

本作も話の大半がゲイ夫婦と養女がバカンスを過ごすロッジで展開されるミニマム設定。主要キャスト前述3人と彼等を元を訪れる謎の4人の男女。
明らかに不審で異様なことを語る謎の4人の訪問を彼等は拒絶する。しかし、4人はどうしても伝えなければならないことがあると強引にロッジに押し入り3人を拘束する。そして4人のうち1人が語りかける。
「家族の中で誰かを生け贄として殺し世界を破滅から救ってほしい」「拒めば君達3人以外の人間が消え世界は破滅する」と。
彼等4人はいったい何者なのか?そして言ってることは真実なのか?

もうシャマラン映画としか言えないぐらいシャマラン感のある作品。
奇想と壮大な謎で興味を惹き、ひたすらサスペンスフルに展開させる。好奇心の刺激と奇想がもたらすスリルを途切れることなく提供してハラハラさせ続ける。
本当にいつもどおり楽しかったしおもしろかった。

でも、前作の『オールド 』ほど奇想がぶっ飛んでない上に映し出される世界崩壊の予兆の天変地異が平凡で既視感が強く地味だった。オールドは登場人物が短時間で老けていくビジュアルが強烈だし何より設定のインパクトが強かった。
それと比べると本作は弱い。それにトロッコ理論めいた設定から陰惨な空気になりツラい。
しかも、この4人が聖書からの引用てのもシャマランにしては凡庸。黙示録の四騎士とか手垢がつきすぎてるよ笑

何気に俗っぽく分かりやすいから、町山智浩さん紛いの隠された(たいして隠してもいない)意味を解き明かしますよ系のレビューが蔓延しそうでそれもいやだなぁ。シャマランにはそういう収まりのよさから離れた映画を撮ってほしいね。
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