『哭声 コクソン』と地続きの世界観ということで観ようと思いつついつしか忘れてしまってたやつ。アマプラの落ちてきたので期待値高めに鑑賞。
舞台はタイ北東部の村、湿った山林もあるしコクソンに沿った雰囲気。その村ではバヤンという女の聖霊信仰があり代々バヤンの媒体になる巫女がいた。現巫女のニムの姪ミンに異変が起こる。ヒステリー、奇行、これはバヤンが巫女を選ぶ時の兆候、次代の巫女はミンになるのか？しかし、ミンの異変はバヤン憑依のそれから逸脱しだす、子供への暴力、近親者へ卑語を駆使した聞くに耐えない暴言、次々と男を誘い性行に耽る。ミンに憑依したのはバヤンでは邪悪で強力な呪力を持った悪霊だった。
ニムは仲間の霊媒師達とミンに憑依した悪霊を殲滅しようとするのだが…
あらすじと構成はコクソン。年齢は違うけど若い女が憑依されエクソシストのリンダ・ブレア状態になる。コクソンは少女だったけだミンはハイティーンなぶん冒涜的なセリフにセクシャルなアンモラルさが含まれるぐらいの違いしかないと言える。ミンが四つ足で徘徊し生肉を獣のように食いちぎるシーンはコクソンの國村隼さんのオマージュ。これはコクソンの悪霊なんだと強調される。この前段でミンが、ベストを着たフンドシ姿の男の傍らに血まみれの生首が転がっている。男は手に持った剣についた血を舐めた。という悪夢を見たことを告白する。これはもろにコクソンの國村隼さんのことだとコクソンを観た者は誰でも想起するはず。コクソン匂わせうまいよー☺️
湿度と粘度の高めのスプラッターな惨劇が続き、最後の儀式ではソリッドにカメラワークを活かして生理的な嫌悪感と禍々しい存在に取り込まれる恐怖をこれでもかと執拗に見せる。人が景気よく無惨に食い千切られてる。単純に死者の数ならコクソンを超えてるかもね笑 悪夢の呪力で四つ足に歩行の狂獣化する儀式参加者とかビジュアルのショック度もかなり高い。
見どころの多いハイクオリティな呪い系ゴア・ホラーだと思う。
ただ、コクソンの姉妹作として見ると残念な点もある。コクソンは結局、悪霊的な者の正体を明確にしなかった。どころかまったく超常的な悪の仕業ではない可能性も提示して観る側を混乱させ翻弄し圧倒的な絶望感と徒労感を観る側に叩きつける観る側をも殺る映画だったのに対し、本作は悪霊の正体とミンが憑依される理由を明らかにしてしまい、それがさらに有りがちなこともあり普通のホラーの色が強くなってしまった。コクソンの心理的恐怖が皆無。
それとバヤンの巫女を取材に来た撮影クルーの視点から見せるモキュメンタリー方式にしたのが良くなかったと思う。下手ってことでなく合わない気がした。番組を作るわけだから時系列や因果関係、関係者のキャラクターや考えなんから整理されてるからわかりやすいけど、そのわかりやすさがやはり普通のホラーっぽさを醸し出してしまいコクソン・ワールドを損なっているように感じた。それとモキュメンタリーの宿命である、こんな酷い状況なのに何でカメラ回してんだよ問題が気になってしまう。いっそのこと『コワすぎ！』シリーズみたいにそこを逆手に取って工藤のような心霊とケンカ上等の異常なディレクターが居ればあの惨状でカメラが回ってることに必然性が出たように思った。てか、次作はもうコワすぎシリーズとコラボだよ、工藤VSコクソンの悪霊で良くね😃？
「おい、悪霊、女にばっか憑いてねぇで、俺に憑けよ？なっ？」とかタイの呪われた村で啖呵を切る工藤が見たいぜ😬💨
