Yukiko

コラテラル・ダメージのYukikoのレビュー・感想・評価

コラテラル・ダメージ(2001年製作の映画)
3.6
2017年8月28日  テレビ東京放送
『コラテラルダメージ』 2001年制作
監督、アンドリュー・デイヴィス。
キアヌ・リーブス主演の『チェーン・リアクション』や
ハリソン・フォード主演の『逃亡者』の監督作品がある。

「コラテラル・ダメージ」とは副次的な被害、
戦闘における民間人被害や、政治的にやむを得ない犠牲、
仕方のない犠牲のことを言う。

ロサンゼルスの消防士ゴーディー(アーノルド・
シュワルツェネッガー)は、コロンビアのゲリラ組織
コロンビア解放軍によって、妻子を殺される。
事件は、敵対関係にあるコロンビア政府や協力関係にある
アメリカやCIAの要人を狙ったものだった。

ゲリラとの和平交渉を優先する政府により、事件の捜査は
有耶無耶のまま。
ゴーディーは一人でコロンビアに行き、妻子の復讐をしようとする。

苦戦しながらもテロ組織へとたどり着く。
中枢のウルフを暗殺しようとするが、失敗してしまう。
ウルフはアメリカでテロを行うため、コロンビアを出国する。

アメリカ政府の手によりゴーディーは救出され、
ゴーディたちはウルフの妻のセリーナの力を借りて、
ウルフを探そうとする。
ウルフはある駅を爆破しようとしていると、セリーナに
より明らかになるが・・・

コロンビアのこわ~~~い所に、一人で行くということが凄い!!
だって、単なる消防士の設定なのですよ。
それなのに、シュワちゃん、銃をまったく使わない!!
まずは武器を使わず、殴ったり、首を捻ったり。
その後、戦う際の武器は、手近な物や爆破物や斧など。
消防士なので、火器に関しての知識があるということで、
ガス爆発をおこすように仕向けたり。
単なる消防士のはずが、凄いです!
やっぱり、シュワちゃんはヒーロー的ですね。
シュワちゃんだけを観れば、ヒーロー映画のようで楽しい
のですが、その実コロンビアの恐ろしい現実を描いています。
今でこそ、コロンビア政府により、鎮圧され、内戦も終結した
ようですが、かっては日本人も何度も誘拐された事実があります。
この映画製作時も、まだまだ混迷の最中。
2002年にコロンビアの大統領になったアルバロ・ウリベ大統領
の父親は以前コロンビア革命軍に殺されたとのこと。
そして、この大統領の政権下で、徹底的なコロンビア革命軍の
掃討作戦を行ったとのことだ。

コロンビア革命軍と、民族解放軍について。
コロンビア革命軍は武装農民運動から出発し、
1964年5月27日に結成された。
1980年代初頭までは勢力1,000人規模だったが、80年代半ば
より麻薬密売組織と協力関係を結び、コカイン原料のコカ栽培
から精製工場、密輸ルートを保護することで多額の軍資金を獲得。
コロンビア革命軍は麻薬カルテル(コロンビア系マフィア)
との関係が深い。
ロシアン・マフィアからロシア製の武器を供給してもらう
代わりに、麻薬カルテルから得た麻薬や、自分たちで栽培
した麻薬をマフィアに提供していた。

1984年に政府との和平交渉に応じ、翌年から政治にも参加、
だが、議員や関係者3,000人も暗殺され、1994年には
政党資格を消失し国政から離脱。
また、身代金目的の誘拐にも関与。
日本人もたびたび標的になったことがある。
2002年2月はハイジャックも!
2002年8月から政府は強硬姿勢で臨むようになり、コロンビ
ア国軍を革命軍との戦いに投入し、革命軍司令官を殺害。
2016年8月24日、コロンビア政府とコロンビア革命軍は共同
声明で、50年以上にわたる内戦の終結に合意したと発表し、
コロンビア革命軍は武装解除される。
2017年6月27日に最後の武器引き渡しと武装放棄の終了を祝う
セレモニーが行われた。

民族解放軍。
1965年に設立。
爆弾テロや誘拐を実行。
一時は、約5,000人から6,000人の勢力。
コロンビア革命軍に次ぐ、2番目の規模に成長した。
2000年代以降の政府軍の巻き返しにより、徐々に勢力は衰退。
2010年頃には2,500人程度。
政府側は、民族解放軍側へも接触を開始。
2015年1月、民族解放軍は和平交渉に臨む用意があるとの
声明を発表。
Yukiko

Yukiko