ゆるやかなネタバレありです。
(この映画自体の特徴が"ザ・ネタバレ"なので悪しからず)
待ちに待ったという人も多いのでは?大人気ブロードウェイ・ミュージカルの映画化ですね。私も1年くらい前にNYで舞台版を見て、それからしょっちゅう頭の中であの曲この曲が流れながら公開まで楽しみにしていました!
まずはですな、アリアナ・グランデの首が無事か心配になった(笑)
★エルファバとグリンダの友情★
映画になってとにかく一番よかったのは、エルファバとグリンダとの間の友情がすごく大事に描かれていて、舞台版ではやや"設定感"のあった二人の友情が、映画ではずっと説得力のあるものになっていました!
△エルファバ♡フィエロ△
舞台版では車に乗って颯爽とやってくる赤いチョッキ姿のフィエロに「なんやねん...」ってなるエルファバ。映画では出会いの場面が全く違い、最初から動物を大切にする運命の人として描かれていましたね。上述の友情同様に二人の関係にも説得力を持たせたかったのだと思いますが、舞台版の途中でフィエロがエルファバをはっきりと選んだときの「おぉ!」という感覚が全くないとともに、最初から"that girl"としてエルファバが描かれるので「I'm not that girl」のインパクトがかなり落ちてしまいました。これではPart2での同曲のリプライズも全然響かないのでは... 挙句の果てに、リアルグリンダ(アリアナ)のお相手はスポンジボブ(ボック、めっちゃ歌上手かったですね)というのだから。映画でも最初っから完全にフィエロではなく、こっちがお似合いでしたね(笑)
〇ネタバレのオンパレード?でも謎も多い!〇
ストーリーを知っている人から見れば、ホントこれネタバレのオンパレードですよね。ボックは登場場面からして××の動きだし、「Dancing Through Life」でふにゃふにゃに動くフィエロ&髪質、元々の歌詞も予言歌とはいえ「Wizard and I」は映像でより明確にネタバレの可視化、などなど。でもPart2はやっぱり読めない!
最大の謎は"オズの魔法使い"のドロシーとエルファバの重ね合わせです。冒頭からして、仲間たちと歩くドロシーの手にはほうき、そして自転車に小ライオンを載せて走るエルファバの姿はオズの魔法使いの犬&ドロシーそのもの、そして終盤には気球。これらの要素は舞台版には全くないため、舞台版を知っていてもPart2はわからんぞ。Part1には新曲がありませんが、Part2には新曲がありそれはドロシーの歌だという噂もありますね。今から楽しみです。
◎エンタメを忘れない社会問題の組み入れ◎
これは監督の特徴でしょうか?移民、人種、LGBTQ+、フェイクニュースなどの社会問題をさりげなくではなく比較的直接的に組み込みながらも、映画としての楽しさを損なわない描き方。元々の舞台版にもそういう側面はありましたが、本当に上手に2020年代版として引き出されてあっぱれでございました。
!キタ――(゚∀゚)――!!メンゼル&チェノウェス姉さん!
これはテンション爆上がりですね。映画の二人の歌もとてもよかったけれど、やはりブロードウェイ・オリジナルの二人の歌はこのミュージカルの「アイコン」そのものですね。
△Defying Gravity△
このミュージカルのザ・メインのこの曲以外にも全体的に歌のテンポが遅く、一曲がめちゃくちゃ長くなっていて、いろんなスペクタクルやエモーショナルな場面を挟むことでさらに一曲が分断されまくってました。Dancing Through Lifeもですが、なんといってもDefying Gravityは曲の緩急をつけながらも歌いだしから最後の盛り上がりまでの一連の"流れ"が最高なので、映画版でのこの曲の流れの悪さは正直がっかりでありました。。。
☆オズの魔法使いへのオマージュ☆
舞台版だけでなく、タイトルのロゴなど映画「オズの魔法使い」へのオマージュがあちこちに隠れていましたね。こちらには書きませんので、ぜひ探すのを楽しんで見て下され。
総評
同じ監督の「イン・ザ・ハイツ」同様、とにかく華やかで楽しさ、ワクワクでいっぱいのミュージカル映画でありました。ただし、Defying Gravityは今からでも撮り直してほしい... 2パートに分けたことには賛否がありますね。舞台版では正直前半で名曲連発にDefying Gravityで最高に盛り上がってしまって、休憩後の後半はもう余韻でしかない... という感じですが、監督の手腕できっとPart2もワクワクと感動の作品になることを期待しております(えらい上からやな...)。