SAtone52484

ミセス・ハリス、パリへ行くのSAtone52484のレビュー・感想・評価

3.8
年を重ねても、純真な心を持っていたい(すでに擦り切れてる感否めないけど)… そうすれば、「今日もいい日」だと、毎日言えるのかもしれない!ポジティブなエネルギーに溢れた大人のファンタジー。



1950年代のロンドン。主人公は戦争からまだ帰らない夫を、家政婦として働きながら待ち続けるミセス ハリス。
戦争が終わってから、10年近く経って、夫の戦死通知が届く… それはどんな気分だったんでしょうね。

そんな中、仕事先でオートクチュールのディオールのドレスを目にし、瞬く間に魅了された彼女。
「私もディオールのドレスが欲しい」と努力に努力を重ねて(紆余曲折、いろんな巡り合わせもあり)資金を貯めるわけです。
作中に出てくるドレスで、私もこの最初のものが一番素敵だと思いました。
(試写会後のトークショーで、このドレスはディオールにインスピレーションを受けてこの映画のために制作されたもの、と言ってました)

何とかパリにたどり着いたミセス ハリス。
なんとそこは、ゴミに溢れた街でした←笑
1950年代、ストがあったりして街が汚かったのは事実なんだろうけど、なぜその設定を残したのだろうか…
ミセス ハリスの出会う人が皆、英語が話せる(もしくは意思疎通ができる)という違和感。
「でも、これはファンタジーだから…」と、自分を納得させようにも「あれ、でも街は汚いんだよね?!そこはファンタジーじゃないの?!」と混乱。←勝手にね
昨今のパリは英語がかなり通じるけど、2000年代はまだ通じないことも多かったという個人的な経験もあり、1950年代なんて、もう絶対通じないだろ!とこの設定に最後まで引っ張られてしまいました。

それはさておき、出てくるキャラクターが皆、魅力的なのが本作。
個人的にはランベール・ウィルソン演じた侯爵が最高に好きだったなぁ。
(全く悪気がない感じで、しれっと凄いことを言ってのける役です)
夢や希望、まっすぐな気持ち、そして「働く人」の熱意を、決して見下さない、心温まるストーリー。

ディオールの描いたデザイン画をもとに、当時のドレスを再現したメゾンでのファッションショーのシーンは圧巻。
そして、メゾンでオートクチュールのドレスを作り上げるお針子さんたちの作業場のシーンも、「職人(労働者)あってのハイブランドなんだ」と印象づけられます。
2020年に大阪に「ディオール、パリから日本へ」展を見に行った際にも、白い仮縫い用見本(トワル)が展示されていて感激したけれど、この作中でもそれが出てきて、やはり、ディオールのドレスのエレガントさは緻密で、デザインと技術力の賜物なんだと思いました。


(余談)冒頭に字幕監修でVogue Japan元編集長の渡辺三津子さんの名を見て感激。その道のプロの監修って、なんか、、、いいよね。
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