二瓶ちゃん

ミセス・ハリス、パリへ行くの二瓶ちゃんのレビュー・感想・評価

4.1
チラシのカラーリングからしてクリスマス映画かな?とか思って鑑賞。

パルコ、ユニバーサル映画、FOCUS FEATURES、e One、MOONRIVER、NFI、SUPERBE 。

数え切れないぐらいの人生の谷。そしてそれとは真反対の幸福の山。それを繰り返す映画だった。

ただ筋書きのように、ハリスさんが洋服を手にするまでのハッピーな映画ってわけでもなくて、それまで割としくじったりミスしたりしちゃう感じ。パリであった侯爵と結ばれるように見せておいて、冷淡だったなぁと。

女性映画でもあったかも。ハリスは彼女自身の人生を生きているのに、他人からは個人として認識されず、ただの労働力として搾取され続けていた。しかし、そんな健気でなにより素直なハリスに差し伸べられる光の数々よ。

ハリスは本当に言いたいことをいつだって言うから、富裕層視点で見ると空気読めないおばさんに見えて、ディオール側から見ると迷惑おばさんには感じたけど、彼女のまっすぐな生き方が大きくこの映画に落とされてると思った。絶望して寝込むシーンとかもう共感。

イザベルユペールの役が好きだったかも。というか品のある美しさでよかった。

前半ではしっかり昔のパリを描ききって、異世界に来たような感覚を、非日常感を観客に与えてくれたと思う。

しかし、自分の偏見ゆえか、ハリスがちょっと階級間の壁みたいなのを乗り越え切れないような印象があったなぁ。人にはそれぞれ与えられた階級や行動があってそれをこなしていればいいのでは、みたいなものを払拭してくれる作品ではなかった。

ナターシャ激かわ。オートクチュール似合いすぎ。立ち振る舞いに気品。だからこそ抱える苦悩にも納得。

パンフレット買いましたが、たくさんドレス載ってるのでおすすめです。

ハリスのお掃除BGMが好きで聴いてます、めっちゃ。

個人的にちょっと曇る部分もあったんだけど、精一杯の夢をもち、自分らしく、明るく生きる姿を見せてくれた、ということでこの評価。

会計士の男の子、お幸せに。