こなつ

天間荘の三姉妹のこなつのレビュー・感想・評価

天間荘の三姉妹(2022年製作の映画)
4.0
漫画家高橋ツトムの代表作「スカイハイ」のスピンオフ作品「天間荘の三姉妹」の実写映画化。ハリウッドでも活躍している北村龍一監督

ファンタジーは苦手意識があるのだが、予告編を観てなかなか面白そうだと思っていた。ずっと時間が合わなくて諦めかけていたところ、フォロワーの皆さんのレビューを読んでいたら凄く観たくなって、いざ鑑賞。

能年玲奈ことのんちゃんは、9年前、朝ドラ「あまちゃん」で何て才能がある新人さんだと思って観ていたのだが、事務所移籍のトラブルとかで、TVや映画で観ることがなくなり残念に思っていた。

前作の「さかなのこ」は観られなかったので、今回が私には9年ぶりの彼女の作品。「あまちゃん」で共演していた有森架純や橋本愛が活躍し、女優としての高い評価を築いてきた9年間。のんはどうしているのかとずっと気になっていた。

独特な存在感、透き通るような肌とキラキラした瞳、9年前と少しも変わっていない姿に感無量。

物語は、あの世とこの世の狭間にある癒しの宿「天間荘」を切り盛りする若女将のぞみ(大島優子)とイルカのトレーナーの妹かなえ(門脇麦)のところに、交通事故で脳死状態になった腹違いの妹たまえ(のん)が現れる。

もう一度現世に戻って生きるか、天へと旅立つか自らの魂が決断するまで、天空の街三ッ瀬のその旅館で過ごすのだが、たまえは旅館で働きたいと申し出る。

そこには色々な事情を抱えた人が滞在している。街にはもう現世には戻れない人達もいる。そういう人々との関わりを通して、天涯孤独だったたまえが生に向き合い、生きることの意味を知っていく。

9年前の「あまちゃん」では、たった2年しか経っていなかった東日本大震災を取り上げ衝撃的だったが、今回もまたあの大震災が人々の心に大き過ぎる悲しみとして決して薄らいでいないことを思わずにいられない作品になっている。

それでもひとりひとりが次の一歩を踏み出す勇気の大切さ、たとえ最愛の人を失っても、今ある生を全力で生きることの大切さを説いているのだと伝わった。

三田佳子、寺島しのぶ、柳葉敏郎、柴咲コウ、永瀬正敏、、、脇を固める豪華な俳優人。見応えがあった。

かなえ(門脇麦)と一馬(高良健吾)との別れのシーンは切なかった。

玉置浩二と絢香のコラボレーションによる主題歌「Beautiful World」は、胸に迫るバラード。エンドロールに流れる主題歌で場面が走馬灯のように流れ、一気に込み上げるものがあった。
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