JunichiOoya

手のひらのパズルのJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

手のひらのパズル(2022年製作の映画)
1.0
すみません、こき下ろしてます。

26分の短編に40分強のトークを合わせての上映。
不勉強で、作り手の黒川鮎美さん(役者さんでこの映画の主演でもある)のことを知らずに尺やテーマから『片袖の魚』と少し重ねながら前情報ほぼ無しで見物。

まず、トークショーでの黒川さんのラメ入り超絶ピンヒールスタイルに驚愕。(トークの間の姿勢の良さ、満遍なく視線を客席に巡らせる気配りには感心しつつも)

金沢で暮らす女性が、周囲に祝福されつつ「結婚(=出産)を前提に」始めた同棲に徐々に違和感を感じて行き、同時進行的に自身の別の特性に気づき、生き方を変化させていくというお話。

①京都に拠点を持つ黒川さんが『裸のムラ』石川県の金沢を舞台にしてLGBTQをテーマに映画を作ったこと
 ・観客の大部分は雪の金沢風景の美しさに見入っても。石川県のパターナリズムには思い至らない。と思うのだけれど終盤手を繋ぐ二人を訝しげに見やる「冷たい目線」だけがその表現であったような。それならわざわざ金沢にしなくても…。

②鈴木祐介さん(TV-CF界の方かと思うけど不勉強でこの方のこともよく知らない)のカメラ。とりわけ終盤の二人が雪の橋上で再開するシーンを手持ちで撮った意図。あの奇妙な絵の揺れ加減は私には意味不明。

③黒川さんの「自主映画」へのこだわりについて
・短編映画はどこの映画館もなかなかかけてくれないとぼやいておられた→じゃあなぜ長編を撮らなかったの? もちろんその説明は無かった…
・26分の短編を撮るのに3年かけた。(私頑張ったんです) →いやいや「自主」映画ではそんなのめずらしくもなんともない製作期間。全然長くないしむしろ一般的ではありませんか?
・映画監督ほど儲からない商売はない。(でも私は敢えてそれに挑戦したの)→照明だって編集だって整音だって、なんなら俳優だってまるで儲からないですよね。金儲けの話をするのなら「自主」とは違ったアプローチがあるのが映画でしょう
・会員制のラジオアプリで番組を持った際に当事者の話を種々聞く機会があり、それが今回の製作につながった。司会者は「その番組は「取材」でもあったわけですね!」とすかさず同調。 →インタビュイーに対するのが、黒川さんというインタビュアー個人ではなく黒川さん+聴取者という不均衡があるなかで、それは決して「取材」でありえない。事後パーソナルなインタビューを積み重ねることこそ「自主映画」ではないのか
・そもそも、この映画館の通常興業時のトークショー、舞台挨拶と違って、今回は「司会者」が外部のプロ(なんでしょう多分)でひたすらトークの提灯持ちというのはどうなのかしら。
・なかなか映画館での上映チャンスも少ないので、自治体や、企業研修での上映を広めていくことで打開して。→いやいや、それも方向が違う、と思うのだが。

レインボーカラーグッズを携えたお客さんもたくさんお見えだったけれど、私はこの映画、支持できなかった。
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