生い立ちを辿るようなドキュメンタリーではなく、デヴィッド・ボウイという概念を映像として表出させようとした実験映画に近い作品で、私にはほとんど「SF」のように感じられました。
圧倒されました。彼の声、言葉、振る舞い、すべてがまるで別の惑星からやってきた存在のよう。そして「カオス」によってこの世の不寛容や差別、孤独に向き合っていく術を教えてくれるメンターのよう。
シームレスに繋がれた曲とサイケデリックな映像と凄まじい音響(IMAXで鑑賞して正解でした)とがもたらす没入感は、彼の脳内にダイブしていくような感覚を味わわせてくれます。
デヴィッド・ボウイのインナースペースへと誘う旅路が、いつしか広大で目眩くアウタースペースへの冒険に変わっていくダイナミズムはSFと呼ばずにはいられない神秘さをまとっています。
あなたのおかげでこの寄る辺なき暗闇に無限の宇宙をみることができました。地球を選んでくれてありがとう。
偶然にもブレット・モーゲン監督と同じ回で鑑賞できたことも嬉しいサプライズでした。