こなつ

窓辺にてのこなつのレビュー・感想・評価

窓辺にて(2022年製作の映画)
4.0
今泉力哉監督の完全オリジナル脚本。

主演の稲垣吾郎をイメージして制作されたのではないかと思えるほどのハマり役。
等身大の恋愛模様は期待以上に楽しめた。

フリーライターの市川茂巳(稲垣吾郎)は、編集者である妻(中村ゆり)が担当している人気作家の荒川円と浮気していることに気付いても何も感じない自分にショックを受けていた。

結婚相手の浮気そのものがショックというのではなく、それを知った自分の愛情の希薄さに悩むところが面白い。

市川は、高校生作家久保留亜(玉城ティア)に文学賞の取材で出会い、受賞作「ラ・フランス」の「大切なものを手に入れてもすぐ手放す」という内容に惹かれる。

自分の悩みと葛藤しながらも、真面目で正直過ぎる市川(稲垣吾郎)は、いつも誰かに相談を持ち掛けられていた。引退間近のプロ選手の友人(若葉竜也)の妻(志田未来)からも夫が浮気していると聞かされる。

【個人的には、たとえ浮気していても決して相手に悟られてはいけない。パートナーを傷つけてはいけない。最低限のマナー。勿論浮気なんかしないのが一番良い。でもドラマはそんなに簡単ではない】

結局、妻に浮気された方は別れを選んで、夫に浮気された方は、元の鞘に収まる。女性の浮気の代償は大きいのかな。

喫茶店の窓辺で、久保留亜が頼んだパフェを苦労して食べる市川(稲垣吾郎)のシーンは、久保留亜(玉城ティナ)とのほんわかした会話劇と共に印象に残る。

窓辺に射し込む光の中で、コップの反射で作る光の指輪、淡く、脆いその光と影が「好きという感情」の切ない思いの象徴のよう。

優しくて、可笑しくて、切ない大人のラブストーリーでした。
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