このレビューはネタバレを含みます
ずいぶんといじわるな映画で、その徹底っぷりが気持ちよくて笑いながらみれた。食にうるさい客人はそのままSNS時代の観客と鏡写しになるものとして描いているし、その最たる象徴としてのニコラス・ホルトの役柄がとてもよかった。「じゃあおまえやってみろ」が実際に観れるなんて!
アニャがシェフのナイーブなところを突くことで脱出を図るところが、スリリングというよりどこか救いのような描かれ方をしていて、バーガーに焼き目を入れるレイフ・ファインズの顔には死を前に最後の調理をする達観のような表情が浮かんでいた。彼の存在と演技なしにはこの映画はそれこそ突っ込みだらけになってしまうのだなと思う。ラストのスモアのシークエンスは美しかったし、なんなら死んでもいいやとゲストたちが受け入れたような顔を浮かべるばかばかしさを強引に推し進める力があったと思う。
チーズバーガーを齧るアニャのラストをみて、帰り道に数年ぶりのモスバーガーでチーズバーガーを食べた。ポテトは波切りじゃなかった。