真田ピロシキ

FALL/フォールの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

FALL/フォール(2022年製作の映画)
3.3
インスタグラマーがテレビ塔に登ったら降りれなくなって大ピンチという筋しか知らずアホ映画と思いきや、危険や困難の途上で過去に傷ついた心を乗り越えようとするちゃんとした物語が展開され『わたしに会うまでの1600キロ』や『ロストバケーション』のような良作の予感を覚えた。伏線となる描写は丁寧に挟まれてて、高さの演出は素晴らしく撮影も絶景で見応えある。胸の谷間をもっともらしく見せられる設定も用意されてて、B級的な下世話さもお約束で済ませようとしないところが好感持てる。

そういう訳で楽しめていたのだが段々失速。望みを託したドローンの交通事故にしろ、まさかやるのかと思ったハゲワシにしろ予測がついて興醒め。ハゲワシなんか笑ったぞ。良い話っぽく締められているが、トラウマ克服のため行ったのに更なるトラウマ抱えてるし何も良いことない。変にサプライズを設けずドローンで助かればそれで良い話になったじゃないか。最後に頼れるのは父親と言いたい訳?薄気味悪い思想だなあ…これならアホ映画に徹してた方がマシです。

この映画の教訓はSNSのフォロワーなど何人いても無価値。それとどこか危険な場所に行く時は身近な人に伝えておきましょうです。低い山に登る時も連絡はしとかんといかんですよ。