つかれぐま

FALL/フォールのつかれぐまのレビュー・感想・評価

FALL/フォール(2022年製作の映画)
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出オチ100%のワンシチュエーションだろうと舐めていたが、とてもよく出来ていた。低予算や演技力不足を、アイデアの数で克服。意外にも古い価値観へ着地するが、その衒いのなさは悪くない。

横に長い映画スクリーンは、縦に高い本作のシチュエーションとは相性が悪いのかもしれない。だが本作は色んな構図を工夫して、高さの恐怖を表現する。まずは物理的な恐怖を様々なネタで(およそ想像できる恐怖は全て盛り込まれていたかな)提供し、伏線もきれいに回収。終盤は心理的な恐怖にシフトと、この単純なプロットで100分持たせるの凄い。

主人公は、亡き夫・親友・父親の存在を再定義。生きる力を取り戻し、シンクロするようにこの悪夢が終る。よくよく考えれば、結構古い価値観に落ち着くので、呑み込めない人もいるかもしれないが、私はその怒涛の展開に呑み込まれたほうかな。

最終的な救出シーンは端折られるが、主人公の内面ドラマが既に完結したあとなので、あれでいいのでは。むしろセンス良いかなと。