つかれぐま

デューン 砂の惑星PART2のつかれぐまのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
5.0
24/3/19@イオン調布:IMAX

Long Live CINEMAS

前作は通常スクリーンで観て後悔したので、今回は全編IMAX画角を堪能。どうやら『スターウォーズ』『ロードオブザリング』に続き、20年に一度巡ってくる彗星☄️のような凄い3部作になりそうだ。

IMAXという巨大なキャンバスを手に入れたアーティストはそこに何を描くか?監督としての力量がもろに問われる課題に、ヴィルヌーブは「引き算の美学」すわわち情報量を絞り込んでみせた。結果、堂々たる名画の風格が備わった印象だ。茫洋とした砂の惑星アラキスは『アラビアのロレンス』のクラッシック感とIMAXレーザーという現代技術のハイブリッド。良くも悪くも目一杯情報を盛り込んだアニメーションやアメコミ大作に慣れた目には、この「何も無いのが美しい」画面設計がなんとも贅沢で新鮮だ。今回は「静」だけでなく、ちゃんと「動」も楽しい。そのバランスがまた絶妙。ワームたちの並走、面白すぎる。

そしてようやく動き始めた物語。
これでデビット・リンチ版に「追い付いた」わけだがリンチ版のハッピーエンド?をビターエンドに変えた終盤の改編が素晴らしい。南に辿り着いたポールが「命の水」を飲んで以降、それまでポール視点で進んでいた映画がチャニの視点へ。この大胆な切り替わりが見事だった。どうやら「人ならざる者」へと進化してしまったポールの内面は見えなくなり、代わりにポールの決断を受け入れられないチャニに感情移入、彼女の視点でポールを傍観することで、物語のうねりに入っていくことができた。

戦いはあくまで「民の為」であり大義の為などではないと信じるチャニ。だがポールは過去も未来を全て知った、その上であの決断をした訳で、果たして正しいのは「民と政」のどちらなのか。現代性に富んだ問題提起は、なんとも味わい深い余韻を残してくれた。