死とエロス。ホラーの文法で不気味に語られる青春。画面が常に悲劇の予感で溢れている。実際、大したことは起きないんだけど。
初々しいエロチシズムってのがおれはそもそも大好物だが、その個人的かつ本能的な趣味(もしくは性癖)を抜きにしても、バスティアンが「二塁まで」進むシーンは、良かった。映画的だった。2人のあっけらかんな笑い声。
バスティアンは湖を泳げない。そして彼は多分、楽しくないパーティーみたいなこの社会を泳ぐこともできない。だからこそ溺れて、永遠の存在になっていくのだ。美しいままで。
幽霊はさみしい。エロもまた、不思議とさみしい。どちらもすり抜け続けるからだ。