風ノ助

野いちごの風ノ助のレビュー・感想・評価

野いちご(1957年製作の映画)
4.5
老医師イーサクは名誉博士の称号を受けるため息子の妻マリアンを乗せて車で会場へ向かう

かつて住んでいた館に寄り恋人を弟に奪われた辛い過去を思い出す
イーサクはその後結婚した妻とも息子夫婦とも上手くいってない

自分の人生は孤独で辛く苦しいものだった
このまま人生を終えてしまうのか
今朝はイヤな夢を見たしさっきだって試験に落ちる夢見ちゃったしこれはなんの罰なんだろうと思春期のようにクヨクヨするイーサク

途中で喧嘩ばかりしている夫婦、二人の男の間で揺れるかつての恋人にそっくりな若者を車に乗せる
彼らは過去の自分たちのよう

旅の終わりに独りで暮らす高齢の母親を訪れ孤独に老いていく様子を目の当たりにする
マリアンからは息子の苦しみを聞きイーサクも苦悩する
息子は自分の影響なんか受けないでほしい、なんとか和解したいと思うようになる

先に到着していた長年仕えてくれた家政婦とコミカルで愛おしいやりとりをする
お別れに歌いにきてくれたキラキラとまぶしい若者たち
自分とは違う人生を送るであろう息子とマリアンに大好きだと言えた
なかなか良い1日の終わり
その後イーサクはベッドへ入り幸せな夢を見る

自分の人生が幸せなものだったかどうかは最後に振り返った時に自分がどう思うかで決まるんじゃないかな
イーサクはたった一日で人生を良いものに変えた

夢と回想シーンが幻想的で美しかったです
最初の夢はかなり好みの映像、おかわりしたい
易しめベルイマンだったのですっと心に入ってきました
風ノ助

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