木村拓哉の魅力炸裂！瞬間瞬間の信長の心の動きに視聴者はシンクロしていくことだろう。綾瀬はるかの濃姫は美しかった。現代解釈の信長夫妻で完全に奥さんの尻に敷かれているが。濃姫はもう100%男に負けてない武芸も頭も切れる最高の出来る女で、一切弱音を吐かず天下の信長の前でもずっと憎まれ口を叩き続けるツンデレである。実は信長にぞっこんである表情がほんの少し垣間見えたが、令和視聴者に合わせたのか、いわゆる女っぽいところはなかった。昭和視聴者としては男女関係、もう少し女の可愛い面を出すシーンがあっても良かったと思う。逆に信長が濃姫にゾッコンで可愛すぎた。二人の関係にフォーカスし、むしろ濃姫の方が主役で、木村は受け演技をしていたように感じた。木村拓哉はそういえば、『ロングバケーション』や『ビューティフルライフ』にしても、気の強い女性を深く理解した上で、彼女達を手の平で転がしながら、ボケツッコミのやり取りで気持ちをほぐしたり、包み込む包容力の塊みたいな年下男が魅力だった。その十八番キャラを今回も炸裂させていたと思う。濃姫の武術には魅了されたが綾瀬の運動神経、身体の動きの早いことよ！二人の魅力が最大限に発揮されていたと思う。
信長の人生としてはうつけ時代と魔王時代の２つの変化が描かれていたが、うつけ時代のアホな取り巻きに殿、殿と言われ、アホか！と頭叩いておふざけしてる時代がオモロかった。始まりのスピード感から初夜の濃姫の凄まじさ、あと最後の南蛮船が良かった。歴史的事象の解釈だが、家康を迎えた食事で、魚が臭いと、一切を取りまとめた明智を足で蹴りつけていじめるシーン、あれは部下たちに信長の威厳を取り戻す演技だったという解釈。明智も承知で皆の前でのパフォーマンスだったようにしている。歴史上、色々な解釈があり、明智へのイジメが高じて明智は信長への恨みを溜めていたという解釈が主流だったが、今作ではパフォーマンスであったという解釈である。面白い！信長への憧れが強過ぎて、どんどん愛する妻のことしか考えなくなった信長の情けない姿に幻滅し、「人にあらず」の信長様を尊敬していたのに、「人」でしかなくなったら殺すしかないと、潔癖な明智は考えたという解釈である。その解釈も良かった。宮沢氷魚の狂気が加速する演技も良かった。
本作は超大作歴史スペクタクルではあっても、夫婦二人にフォーカスした作品で、自分の気持ちを上手く伝えられないツンデレのラブストーリーに仕上がっております。延暦寺の焼き討ちはあったが、もう少し史実を取り入れてほしかった。
綾瀬の肌を美しく見せるため、わざと男たちの肌はありのままに描いたんだろうな（そんな化粧水つけてる武将なんか居るわけないし）超大作！必見！
