ベビーパウダー山崎

悪徳のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

悪徳(1958年製作の映画)
3.0
いつの時代も金貸しは極悪。仏の顔で家族と接し裏では拷問殺人なんでもありの鬼、それが佐分利信。その下で動き次第に対立していく小悪党の木村功もハマり役。木村功みたいなあのポジションで芝居をこなす役者が今はいない。最高なのに。金貸しのサスペンスで走りながらメロドラマな男女へと曲がりくねり最終的には男と男の対決で終わる変な映画。監督としての佐分利信、『夜の鴎』『愛情の決算』もそうだったが展開が鈍く唐突で決してうまくはないがそれ故に奇妙な光を放っている。あと死に対しては意外と冷酷で、善悪へのよろめき含めてそのドラマ(物語)の根幹には戦争の暗い影があると思う。