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金の国 水の国のKUBOのレビュー・感想・評価

金の国 水の国(2023年製作の映画)
4.5
今日の試写会は『金の国 水の国』MOVIE WALKER PRESS 試写会。

ディズニーがやらなくなって久しい”Happily ever after” を日本がやってくれた。これは日本発の初めてのプリンセスものじゃないか?

実は鑑賞前には全く期待していなかった。「このマンガがすごい!」とか全然知らなかったんで、下ぶくれの女の子のキャラクターデザインから子供向けのアニメだと思い込んでた。

でも、これすごいよ! すごいおもしろかったし、素晴らしいアニメだった! エンドロール後に拍手したくなった!

高い塀で隔てられたAとBの2つの国。長年に及ぶ戦闘が続く敵対した2つの国家が舞台。

ここまでの設定で想起するのは、韓国ー北朝鮮、イスラエルーパレスチナ、ウクライナーロシアなどだが、この作品の中の2つの国の対立は、こういう社会の縮図であり、物語はそれらを反映した寓話であろう。

砂漠の中に巨万の富を抱えた先進国Aと、豊かな自然と水に恵まれながら貧困に苦しむB国。

B国の水を狙って、開戦を望む王側と、B国との融和を目指す王女側が対立するA国。

この2つの国を結ぶのが、93番目の王女「サーラ」とB国で一番賢い若者「ナランバヤル」。

このナランバヤルを演じる賀来賢人がいい! 3年で役所をクビになった片田舎の青年のはずが、機転が効いて、肝が据わっていて、王族に面と向かっても全く動じない。コイツ、何者?

対する王女サーラ。ちょっとポッチャリの体型に自信がないけど、おおらかで、人を疑うことを知らず、実はシンの強い女の子。

このふたりのキャラクターがすごくいいし、賀来賢人と浜辺美波の演技が素晴らしい。

あの『鎌倉殿の13人』も手がけたEvan Call の音楽も素晴らしい。

今、世界は、ウクライナとロシアの戦争以降、日本を含めて戦争ムードでいっぱいだけど、何より大切なのは「平和」だということをストレートに伝えるストーリーが胸を打つ。

二局対立じゃない。資源を分け合って共存共栄を選ぶという本作のテーマは、戦争ムードにおおわれた今こそ見てほしい作品。

ただひとつ心配なのは、見た目のインパクトに欠けること。

見ればわかる。見れば伝わる。だから見てほしい。

今だからこそ、アニメなんだから、夢を見ようよ。

そしてふたりは “Happily ever after” !

『金の国 水の国』、絶対感動するよ。
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