サカナ

スマイルのサカナのレビュー・感想・評価

スマイル(2022年製作の映画)
4.2
何の前情報もなくなんとなく見たら面白かったー。
私生活も精神科医(救急)としても割と充実している主人公の女性(ローズ)が、自殺連鎖の呪いにかかり、生活がガラリと破綻してしまう内容で、ローズが次々とホラー的な、現実には有り得ない出来事に遭遇し、周囲からも精神を病んだと思われ拒絶され孤立していく、その過程が丁寧に描かれていて、「幽霊怖〜」ともなるし、現実と幻覚の境界がわからない不安感が「自分が病んでたとして、こんな症状だったら地獄〜」ていう怖さも感じるし、二重に怖かったです。
誰からも理解されない不安、孤立感=恐怖というテーマは、普遍性があったし、精神科医療を題材にしてたからリアリティがあって面白かったです。

個人的に冒頭の心理カウンセリングが上手くいった事例(カールの時)と、失敗して大惨事になる事例(呪われた女性)を続けて見せられた後にオープニングカットが来て、おっ⁉︎てなりました。すごいリアルだなって。あそこだけで5点でした。
失敗した事例の方、あれは悪魔に取り憑かれた患者さん相手だから仕方ないんですけど、幾つかローズしくじってるんです。
まず席の位置取りについて、患者さんと対面で話しをするのは緊張を誘発しやすいためあまり良くないんです(カールの時には横隣に席を移してる)あと、ローズは患者さんの話しに対して否定的な受け応えをしているんです。そのあと患者さんは「誰も私を理解してくれない!」と暴れ出してた。
しくじりの理由は、ローズが夜勤を含む長時間勤務をしていて判断力が低下していたというように上司とのやりとりから理解できます。
夜勤明けで、くたくたな状態で患者さんに共感的理解はなかなか示せないんです。そして結果大惨事で、しかも呪われるってローズ可哀想です。あの電話、出ないで退勤しちゃえばなー。
でもあんなにリアルなカウンセリングのやりとりを映画で再現してるのって初めて見ました。

終盤に悪魔が具体化して映像になってしまうと、残念な気持ちになりました。というか、キリスト教徒じゃないから悪魔ってイメージし辛いし、具体的に映像で見せられると作り物感が強くて急に冷めてしまうという。
貞子とかのビジュアルの方がしっくりくるんです。

でもでもほんと面白かった。普通におすすめできます。
サカナ

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