サカナ

コット、はじまりの夏のサカナのレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
3.7
いい映画だなーって、それだけで終わらないとこがほんといい映画だと思いました。
観た後のやるせなさみたいな感覚は「北の国から」みた時みたいですよ。
だってさ、コットの家、めちゃくちゃ駄目な家でしょ。
その生活環境があたり前デフォルトなコットが、普通の子供として一夏過ごして、今まで自分が如何に劣悪な環境に置かれていたのかを実感して、でも弟産まれたし、学校始まるからって元の環境に戻りますってさ、地獄でしょ?
コットの父親まじでゴミだし、母親もドラッグやってそうな場面あったような(途中寝てた)。
都市生活で荒んだ家庭って理由じゃなく、田舎ですることないから子作りとギャンブルに嵌りましたっていう。
都市と田舎の対比じゃなくて、良い田舎と悪い田舎の対比が実は結構えぐいなと思いました。
なので外的な環境変化でなく人的な環境変化の話しですよね?
コットの実家も家の外は風景として牧歌的でほのぼのした印象でした。
でも生活音は全然違かった。

叔母さんは思ったことすぐ口に出しちゃうとことか、それ聞かれたらコット嫌だろうなーってこと結構喋ってたので、実は叔父さんの方がコットを1人の子供としてきちんと向き合ってたし、感情はなんでも言葉にするもんじゃないんだよな、となんか共感出来ました。

この映画のエンドからはじまるのは、どんなお話しなのでしょうか?
やっぱり言葉は抜きにして駄目父と寡黙な叔父さんの、拳と拳のぶつかり合いでしょうか?
いや、違うだろうな、なんかもっとモヤモヤする展開だろうな、やっぱりあそこでエンドにした方が映画としては綺麗だよな…。
とやるせない気持ちで我が家の夕飯の買い物をしてました。

いや、泣いたよ。すごい良かったもん、最後の場面。

1番良かったとこはさ、コットが叔父さんとハグしてる時、叔母さんが車中でさめざめと泣いてるじゃん、
あの泣いてる雰囲気で(ごめんね、私のエゴに巻き込んでしまって…)という叔母さんの心情が伝わって来たとこかな。
自分の息子は亡くなってるもん、寂しかったんだよね。
だから親戚の子を預かる話しにノリノリで引き受けたんだろうなー、その件では叔父さんともきっと揉めたんだろうなー。
という想像をしてしまいました。

結局さ、大人のエゴに付き合わされる子供は可哀想だし不憫なんだよ。北の国からみたいだなほんと!
サカナ

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