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スマイルのRのネタバレレビュー・内容・結末

スマイル(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

自宅で友人1人と鑑賞。

監督は「ローラはねむれない」のパーカー・フィン。

あらすじ

精神科医のローズ(ソジー・ベーコン「チャーリー・セズ/マンソンの女たち」)の元に精神錯乱状態の女性患者ローラ(ケイトリン・ステイシー「バスタブで死んだ私」)がやってくる。患者の女性はある自殺を目撃したのを境に自分にしか見えない人物が見えるようになり、「それ」は自分に不気味な笑顔を向けてくるという。そのカウンセリングの途中、突如ローラは自殺、その日を境に今度はローズの周囲で不可解な現象が起こり始める…。

ホラーは苦手ジャンルなんだけど、ずっと気になっていて、ようやく友だちと一緒に鑑賞。

まず本作を語る前に、今作の宣伝が効果的でご存知の方もいるかもしれないが、映画自体の宣伝ではなく、同時期に中継された野球の試合会場にあらかじめ多分エキストラの男女を忍び込ませ、その人たちが中継カメラで微動だにせず、こちら側に不気味な笑顔を浮かばせてるという映像を何も知らせずに流すという…。もちろん試合会場にいる観客たちも知らされていないし、テレビで観て、偶然それを目撃した人もなんもわかんない状態…いや、怖いよ!!もうそれだけで「なんかヤバい人がいる!」ってめちゃくちゃ焦るし、「これって誰も気づいてない?俺だけ?」みたいな呪われそうな印象も受けてめちゃくちゃ怖い!どうやらその当時も同じような人たちによってSNSで瞬く間に拡散、その後「実は映画の宣伝でしたー。」ってのが明かされたんだけど、宣伝効果としては抜群だよな。

で、本作、お話はあらすじの通り、主演はソジー・ベーコン。全然知らない人なんだけど、ホラー映画の主役に似合う幸薄そうな感じがいい感じ。

で、まずそんなベーコン演じる精神科医ローズのもとに運びこまれてくる患者のローラのシーンが怖い。

もう対面時から完全に怯えきっていて、話しているうちに、明らかにローズには認識できない「なにか」をローズの背後に「見た」ローラは座っていた椅子ごと漫画みたいにズコー!!と盛大に転んだ後、壁まで追いやられて絶叫!!

これはヤバい!とすぐに警備員を呼ぶローズのショットに映り、次にローラをカメラが映すとパッケージにもある爛々とした目と不気味に張り付いた笑顔で微動だにしない状態。

で、そこから転んだ際に机にあった花が生けてあった花瓶かなんかのガラス片をふと拾って一思いに髭を剃るような感じで頬から咽喉にかけてザクザクザク〜!!

まぁ、序盤のアッパーとしてはこれ以上ない怖さでまずビビる!!

で、そのあとは今度は「それ」の標的がローズに「憑る」んだけど、今作のとにかくジャンプスケアが多い!!しかも、ホラーをよく見ている人やそういうびっくり描写に慣れている人が「こうくるんでしょ?」という予想を意地悪に絶妙にはずしてくるからタチが悪い!!

例えば、夜一人で冷蔵庫を開けて、飲み物を取り出すシーン。両開きの冷蔵庫の片側が開いていてその奥は全く見えない状態…と聞くと慣れてる人ならその扉を閉じたら、いる!ってなるのかなぁと思っていたら、そこは何にもいなくて、その後にワインかなんかを飲みながら物思いに耽っていると暗闇の奥にローラの幻影がいるぅ!!とかローズが幼少時にある「トラウマ」を植え付けられた「ある過去」によって、あんまり仲が良くない姉のホーリー(ジリアン・ジンサー)の息子の誕生日パーティーに誘われて、仕方なく列車のおもちゃを包んだプレゼントを持って行くシーンでは、およそホラー描写もなさそうな明るい室内と周りには息子の友だちをはじめ、その両親たちもたくさんいるのでここはびっくりなさそうだなーなんて油断して観ていると開封タイム!となって他の人のプレゼントは最新鋭のおもちゃばっかで、あぁ、列車が好きといってもローズが選んだのは木製の低年齢向けの古ぼけた列車のおもちゃなのでなんだよ…みたいなテンションサゲーみたいな感じになって居心地悪くなる感じるなんかなーと思ったらローズのプレゼントを開けて列車が出てくると思ったら、前のシーンで行方知らずとなったローズの愛猫の無残な死体が(また息子が満を辞して首根っこ掴んで取り出すところがまた…笑)!また、え?え?私じゃない?あぁー!つか私の猫ちゃんがー!!と混乱してるとそこに被せてくるように椅子に満面笑みのローラが座ってる!でショットが変わったら、歯止めをかけるようにローラめっちゃ至近距離でワァっ!とか、ここはめっちゃびっくりして心臓ドキドキしたよ!

かと思えば、王道のびっくり展開もあって、ローラの自殺の謎を探っていく途中、カウンセリング時のローラとの会話を録音しているのを聞いていて、初めは聞き取れないんだけど、何度もその部分を聞いているうちに「ローラ…ローラ…」と何者かが囁き声でこちらに語りかけてくる!で、もっとよく聞いていると急に背後で「ローラ!!!!!!!」とでっかい声とまたも笑顔のローラが暗闇からワァっ!!こえーー。

あとはローズも過去にカウンセリング受けてた精神科医のおばさんの笑顔で至近距離詰めてくるところとかね、ネバーとした唾液で口を開けてくるところとかホラーっていうよりか「エイリアン」のそれっぽくてここは面白かったけど。

そしてなんといっても極めつけは後半。上述の姉ホーリーの息子のパーティーでの粗相を詫びようとホーリーの家に再度向かうんだけど、当然そんなことをしでかしたわけでホーリーもまともに取り合ってくれない。そのうちに過去の出来事がきっかけで口論となり、もはや絶縁状態のまま別れることに…。スゴスゴと自分の車に戻り、呆然としているのか、悲しみを堪えていると、急に無表情のホーリーが再度扉を開けてこちらにものすごい勢いでドスドスとやってくるんじゃありませんか。なんかまた言ってくるんかなぁ…と不安に思っていると、ドアの前で少しの溜めがあった後…逆さ状態で首グニャンとなったホーリーが満面の笑みで出てくるショック演出!!

いや、出方、常軌逸してるだろ笑!!

薄々またスマイルでくると思いつつ待ち構えていたら、明らかにこちらの予想を超える変化球スマイルかましてきて、めちゃくちゃ怖かった…。一緒に見たホラー耐性がある程度ある友だちもめちゃくちゃびっくりしていてある意味、面白かった笑

で、そんなびっくりの連続の前半から後半では「それ」に絡んだ謎の連続自殺事件を相棒となっていく元彼の刑事ジョエル(カイル・ガルナー「スクリーム」)と探っていくパートに。このパートの雰囲気然り、その原因を探っていくとローラと同じように不可解な自殺を遂げた人が何人も出てきて、どうやら「それ」に「憑かれる」人の自殺を「見てしまう」と何日か後に自分も自殺してしまうという「リング」的な感染要素が実にJホラー的で良い。

で、その死を回避するためには自分が誰かを殺して、その現場をもう一人の誰かに見てもらうしかないということがわかって、ローズもそれを自分の勤める病院の患者を使って試そうと試みるんだけど、直前で良心の呵責に耐えきれずに、だったら誰にも会わずにいれば、「それ」の感染を食い止めることができるんじゃないかと発見し、過去の出来事が起きた生家に向かうんだけど、そこでは過去のトラウマとの対峙と共に遂に「それ」自体との直接対決!!


見た目的には言うなれば「進撃の巨人」に出てくる巨人状態のエレン・イェーガーをホラー寄りにしたでっかい化け物なんだけど、それ自体はそれほど怖くなくて、直接対決でなんとかトラウマを克服したローズが「それ」に火をつけて撃退…やったー!と思ったら「それ」の作り出した幻想でした…からの第二形態が出てくると顔面を破って出てくる幾重にも連なった「スマイル」が合わさったまさにモンスターでそいつがそのまま絶叫するローズのあんぐりした口から侵入する様はまさに悪夢的。ちょっと「MEN 同じ顔の男たち」のクライマックスを彷彿とさせる「やだみ」もあった。

で、ラスト「誰が」次の標的になるのかってところはご想像にお任せしますが、この次に繋がりそうな「引き」で終わるところもJホラー的で良き。そしてエンディングがザ ・コーディッツによる曲自体は知らなくても誰もが一度は聴いたことがある歌「ロリポップ」の陽気なメロディで締めるのところも抜群に趣味が悪い!!

いやぁ、噂に違わぬ作品で、久しぶりにど直球のホラーになんだかんだ満足しました!ちゃんと怖いので、苦手な人は要注意です!!

😀
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