岩嵜修平

そばかすの岩嵜修平のレビュー・感想・評価

そばかす(2022年製作の映画)
3.9
素晴らしかった!こういう映画が有って良かった。よるドラ『恋せぬふたり』、年森瑛『N/A』と連なる、同じ世界に当たり前に生きる人々の日常での喜びと葛藤。「多様性」と単純化せずに、この映画に生きるような多種多様な一人一人をありのままに受け入れる世界に向かうために必要なこと。

正直、玉田真也が、こういう映画を撮るとは思っていなかった(今泉力哉監督と一緒で、作品で描くことが変化し続けているとは思う)ので良い驚きだったし、いつもの軽妙な会話が鳴りを潜めた分、『夏の砂の上』に続いて演出の巧みさも強く感じた。アサダアツシ脚本や中瀬慧の撮影の力も大きいと思う。

アサダアツシは今泉力哉監督『his』で男性同士の同性愛と、それを受け入れられない社会との歪みを描いたが、本作でも、同根の問題を描きつつ、だからこそ、自分と違う人を自然に受け入れる存在にグッと来る。三浦透子は堂々たる主役っぷり(タバコが似合うこと…!)だったし、前田敦子の適役っぷり!

三浦透子、前田敦子、坂井真紀、三宅弘城、伊藤万理華、伊島空、前原滉と好きな俳優しか出てない上に、脇にも、兵藤久美や能島瑞穂、堀夏子ら青年団チームに小劇場俳優だらけで、どのシーンも愛おしかった。「わたし達はおとな」「よだかの片想い」に続き、
「(not)HEROINE MOVIES」全て大好き。

羊文学・塩塚モエカ作詞作曲、ESME MORI編曲の三浦透子「風になれ」も素晴らしかったし、『光るとき』にも通じる塩塚節が、三浦透子の力強い声でも発されていて嬉しかった。
岩嵜修平

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