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ハントのsoopenのレビュー・感想・評価

ハント(2022年製作の映画)
4.0
スクリーンで初めて韓国ノワール映画を視聴しました。ど迫力。
世界の映画祭に出品しまくった本作品、本当に理解できたのか、1983年頃の事件や、全斗煥大統領についても、ある程度勉強して挑んでみたものの、背景まで理解するのは難しいものでした。
しかし、安心して下さい!
本編を観て、もっと知りたい!と思った方は、歴史的背景や、インタビュー、見所をこれでもかと詰め込んだパンフレットがあります。それでかなり理解できるかと。なくても全斗煥時代の雰囲気や、抵抗しようと命懸けで行動を起こす人間達の壮絶なアクションを楽しめます。イジョンジェ初監督作品とは思えない素晴らしい出色の作品なのではないでしょうか?

ストーリーは、1980年代の大統領暗殺計画の裏で、安全企画部の海外次長パク(イジョンジェ)と、国内次長キム(チョンウソン)が、組織内に入り込んで、情報を北朝鮮に漏らしていると思われる、二重スパイを探し出すという、任務を与えられ、内部での諜報戦、拷問から様々な事が判明していき、巨大な陰謀がやがて明らかになっていく…というもの。





以下、ネタバレ含みます。

軍事政権がいかに国民を苦しめ、弾圧してきたか、それにより暗殺計画が立ち上がっても無理からぬこと、そこに北朝鮮が絡んでくる、何もかも一触即発の状態が長らく続いていた。水面下での攻防戦、互いに多くを隠し、しかしその心の内は明かさずとも、大志を抱いていた。やり方は違うけれども、ゴールに至る道には、重なる部分のあった2人…

静かな緊迫感からの、あっという間の銃撃戦。見事でした。しかし拷問シーンが、安全企画部室内で、違う部とはいえ、仲間を平然と拷問にかける、学生運動のリーダー達も裸に剥いての拷問はかなり大画面で見るには辛いものがありました。

最後の大統領暗殺未遂は、タイでの出来事ですが、これは実際はラングーン(ミャンマーを訪問中にアウンサン廟が、北朝鮮のテロにより爆破された事件)で起きた事件をモチーフにしたものと思われます。奇しくも40年前の10/9とのこと。
ここでようやく、2人の次長の生の気持ちが分かる仕組みに。
北朝鮮工作員のパクの抱いていた思想は、南との統一。それは北が描いた図式とは異なるもので、最後にギリギリに選択した、驚くべき行動が、全てを破滅に導くもので…でもそのお陰で多くの惨劇から人々を守れたとも言える、悲しい終焉でした。
パクはまた自分の最期も当然想像していただろうけど、ラストの銃声の意味は観客に委ねられる…

豪華なカメオ出演でも、派手なアクションでも、内容はしっかり重たいやるせないものでした。
特に優秀だったパク次長の部下の、チョンヘジンの死に方がショック…

一つだけ笑えたシーンといえば、日本のシーンでサロロパスという看板を見たことかな。
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