このレビューはネタバレを含みます
前半、部長がブレスレットを叩き割るところまではめちゃくちゃ面白かった。タイムループもので、タイムループに最初に気付いているのが主人公以外であるという新しさ、そこからメンバーを一人ひとり説得して味方につけていく楽しさ、ループをクドく見せない圧倒的テンポの良さ。とにかく前半はとても面白くてワクワクだった。
ところが後半、この映画は急に"仲間"や"夢"の大切さを語りだす「良い話」にシフトしてしまう。それもかなり安っぽくありきたりな「良い話」。部長が夢だった漫画を描き終えればループが終わるというのも納得しづらい。長年の夢だったのに、どうして急にこの週だけループしているのか。
全員が泊まり込みするような超忙しい部署だったのに、全員が一斉に漫画の仕上げに取り掛かっていたらどう考えても仕事が回らないのでは？というかいつ見ても部長は全く仕事をしていないのだが、どうなってんの？仕事は部下に任せているのかもしれないが、あそこまで全員が漫画を描いていて一切気が付かないというのはさすがに無理がある。あと主演女優は失礼だが全然可愛くないし演技もいまいちなのだが、何のコネで主演になったのか。大体、物語のテーマを全て漫画のセリフで語らせるとか、演出が手抜きにもほどがある。漫画をただただ見せるシーンが多くて長いし。などと、後半に入ってから気になりだしたことが多すぎて、本筋の陳腐さも相まって全然集中できなかった。
オフィスのみで展開する話なのだから、「皆で協力して"仕事とは一切関係がない個人的な"部長の夢を叶えてあげる」のではなく、「皆で協力して仕事上のプロジェクトや目標を達成する」方が本来のテーマには合っていると思う。今まで皆が個人プレーで雑にやっていた仕事も、やり方一つでチームワークでこんなに違うんだ、というような。結局主人公は転職しないことを自主的に決めたから良かったようなものの、一歩間違えれば「上司の個人的な夢のために主人公が夢を諦める」展開だからねこれ。
さすがにもう一展開、もう1個何かオチがあるだろうと最後まで観たのだが、そのままストレートに良い話で終わってしまってガッカリした。
