ぐるぐるシュルツ

スピリッツ・オブ・ジ・エアのぐるぐるシュルツのレビュー・感想・評価

4.0
飛びたい飛びたい飛びたい。
風の霊魂と雲の妖精を待って。

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これはなんだか凄く良い映画を見てしまった。
時間帯も良かった。
土曜の夜、その日の最後の上映。
広い部屋に、少ない人数で鑑賞。謎の一体感。
あんまり人に知られていないっていうことまで、なんだか物語に絡み合ってて気持ちいい。

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人があんまりいなくなってしまった文明後の、砂漠・荒野に住む奇妙な兄妹。訪ねてくる異邦人、おそらく罪人。
北へ向かいたいけど、そこには文字通りの絶壁があって、
兄が固執し続けていた完成目前の「飛行機」に異邦人は乗ることになる。
出発までの一週間。

度々の激しい狂気がちっとも怖くないのは、
全員に悪意がなくて、
それでいて凄く真面目だからで、
(妹の悪意らしきものも実は兄や父を想う心だし)
何故かそこには
虚しさや寂しさがうっすらあって、
だからこそ、
最後のバイバイにグッとくる。
あぁ、バイバイ、飛んでけよって。
願いと恨めしさと申し訳なさが
ないまぜになったような。

それにしても、
異邦人スミスがクールすぎる。
厨二病が冷や汗かくレベル。

地平はどんなカットでも常に一直線に見えていて、
赤い大地と濃い青い空。
風を待って、飛翔を狙う。

登場人物はたった三人。
でもそれだけで完璧なバランス。

どうか墜落しないでほしい。