シンメトリーが崩れていく。
開けた窓が閉じれなくなる。
会話は対話じゃなくて一人語り。
電話は決して繋がらず、
ずっと電話を待っている。
〜〜〜
すごくよかった。
レイトショーも相まって、
時間がゆっくりじっくり流れていた。
こないだ観た『ブリュッセル〜』で
アケルマンさんが描くのは完璧なバランスが崩れていく様なのかなって思ったから、
それを念頭に置いて鑑賞。
小津さんを彷彿とさせる完璧な画角ショット。
主人公が画角のはじに寄っちゃっても、
ど真ん中だけは背景のシンメトリーが譲らない意地っぷり。
そして、それに引けを取らない欠点なし、隙なし美女。
そして、無駄のない動き。
アンナの心までもが、
あたかも一人で完結してしまうシンメトリーのよう。
それに比べて、他の登場人物のアシンメトリーさときたら笑
皆、おしゃべりが一方通行で自分のことばかり。
主人公が黙って聞いているだけの謎時間が多くて笑う。
でもね、段々、アンナの心も、
実はまだまだ若い女性で、グラングランなことが明らかになっていく。
親に会ったり、年上の彼といる時は、
もう冒頭とは全然表情が違うよね。
アンナも自分について話したり歌を歌ったり。
画角だって、もはや背景よりも、
彼女をど真ん中に据えはじめちゃって。
そうやって、僕ら観客の心もすーっと、
不安定なアンナに寄せられていく。
そんな彼女は最初よりも
ずっと綺麗だから不思議。
そして、最後のシーン。
繋がらない会話。待っている電話。
唯一調和した、あの女の子はもういない。
でも、「あなたはどこ」って気持ちだけは、
今もあの子とシンメトリーしてる。
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やっぱり間が長い映画はゆっくり考えながら見れるから好き。最近こういう昔の映画特集増えてきて嬉しい。
書いてる途中で気づいたけど、
Annaのスペルもシンメトリーだね。