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Pearl パールのSUのネタバレレビュー・内容・結末

Pearl パール(2022年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

障害者の父の介護と極閉鎖的な母に抑圧され続けるストレスをガチョウなどの小動物を殺す事で発散していたパールは、たまたま母を燃やしてしまった事で歯止めを失い、気に入らない事があれば即感情を爆発させ、当たり前のように死刑を執行するシリアルキラーと化した。

時計仕掛けのアレックスを思わせるハットを被りカカシを使って自分磨きに勤しむ姿や、オーディションのダンスで見せる全力の笑顔などミア・ゴスに魅せられっぱなしだが、主演と共に脚本やエグゼクティブプロデューサーとしても参加しているとのことで、今回も彼女のエネルギーをまざまざと感じられる快作であった。

ほんの少しパールに恐怖しただけで幾度も鍬で刺され徐々に力尽きていく哀れな映写技師の表情や、パールに嫉妬され危険を感じ逃げる義妹の背後で斧をゆっくりと手に取り小走りで追いかけてくるパールは随一の美スラッシャーシーン。

腐敗した豚を食卓に並べ、死んだ両親を机に向かわせるというパールの狂人性は、エンドクレジット前に映される狂気の笑顔で昇華する。
しかしそんなパールよりも、戦争から帰還しその惨状を目にした後、Xの年齢までパールと添い遂げるハワードの偏愛こそ常軌を逸した本当の狂気なのである。
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