こなつ

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしいのこなつのレビュー・感想・評価

3.8
大前粟生の小説の映画化。監督金子由里奈
主演、細田佳央太、「いとみち」の駒井蓮や新谷ゆづみなどフレッシュなキャストで構成されている。

舞台は、京都のある大学。「ぬいぐるみサークル」に集まる若者の話。
同年代で同じような悩みを抱えている人達には心の拠り所になるような作品だと思う。優しい故に傷つき、傷つきたくないから自分の世界に籠る。悩みがあっても辛い事があっても、話して聞いてもらった人に迷惑を掛けそうで怖い。だからぬいぐるみに聞いてもらう。

「ぬいぐるみサークル」は、ぬいぐるみを作るサークルではない。ぬいぐるみに話しかけることによって安らぎを得る場所。そうすることでしか生きていけない若者、人とコミュニケーションを取るのが苦手な若者、繊細で優し過ぎて人を傷つけたくない若者。今の時代だからと言うわけではない。どの時代にも人と違う自分を見つめて、苦しんで、何かを探している若者がいる。

同年代に観たらもっと共感出来たかもしれない。人とのコミニュケーションが面倒で苦痛な日々もあった。歳を重ねて気付くことも多い。どんなに頑張っても報われないことはあるし、何にも考えてなくても何となく上手く行くこともある。自分らしく生きるというのは本当に難しい。同じような気持ちを抱えているような人達がいると思うだけで救われることもある。今を生きる若者達に伝えたいメッセージ。そんな優しい作品だった。
こなつ

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