ボサノヴァ

ボーンズ アンド オールのボサノヴァのレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
2.0
「食人」のような人類最大の禁忌であっても、果たしてマイノリティ迫害描写と旬の役者を起用すれば正当化できるのか?という、某番組の説立証企画みたいな、チャレンジングな映画でした。

結果、あんまり成功しているように見えないのは、主演のテイラー・ラッセル(可憐)があまりにも物言わぬ存在で行動原理がよく分からない点でしょうか。観るものの理解を拒絶しているというよりは、彼らの幼児性や未熟さの部分を表現しているのだろう(妙に理屈くさい食人のオッサンが出てきて、パターナリズムを振り翳してくるのは、相対的に若い2人を善く見せようとしているのか)けれど、今、人を食べたくてムラムラしている、とか、そういう人間っぽい感情を少しでも出してもらえると、もっとシンパシーを感じられて映画の主旨にも合っていたように思います。

傍目には同族に見える者同士で起こる突然の諍いなど、さいきん理解が深まりつつあるマイノリティ界隈の複雑さは垣間見えるも、映画としての面白さについては、うーん、と唸らざるを得ない。
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