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無限の広がりのsonozyのレビュー・感想・評価

無限の広がり(2022年製作の映画)
4.0
1970年代。ローマの高級アパートで、関係の冷めた夫フェリーチェと3人の子供と暮らすクララ(ペネロペ・クルス ※すぐに男が寄ってくる美貌)。
3人の子は、長女アドリと、その弟ジーノ&妹ダイアナ。
主人公となるアドリは、ジェンダー・アイデンティティに悩む12歳。
トランス男性であるエマヌエーレ・クリアレーゼ監督の自伝的キャラクターとなっているようです。

フェリーチェとの関係が原因なのか、3人の子と同じテンションになったり、精神的な不安定さが垣間見える母クララとの関係。
アパートの前にあるサトウキビの茂みを抜けたキャンプで暮らす移民の少女サラとの出会いと恋。
アドリ(女性名)ではなく、アンドレア(男性名)として生きたいアイデンティティの揺らぎ・・

アドリとクララの感情を捉えたストーリーなのですが、ユニークなのが音楽。
当時のイタリアンPOPSなのかな?本人のフッテージも引用しつつ、ノリのいい楽曲が印象的です。

例えば前半、踊りながらテーブルセッティングするシーン。
♪「Rumore (by Raffaella Carra) 」
https://youtu.be/Me0YuCnV5DY

読み方も意味も不明な♪「Prisencolinensinainciusol (by Adriano Celentano) 」に合わせてクララとアドリがクールに歌い踊るモノクロシーンもカッコイイ。

1970年のフランシス・レイ作曲の有名な曲「Love Story」のカバーも。

大好きなペネロペ様はもちろん、アドリ役の新人ルアーナ・ジュリアーニ(レーシングバイクのライダーをしているらしい)も良かった。

原題『L'immensità』は「広大な/無限の」といった意味みたいですが、本作の内容からピンと来るものではないですね。
自称“宇宙人の子”アドリ(=当時のクリアレーゼ監督)の感情、つまり、ジェンダー・アイデンティティや人間関係など、自身がこの先どうなるのか分からない不安とも可能性とも言えるモヤモヤの大きさをあらわしているのでしょうか。

トレーラー
https://youtu.be/XFSeAuG2oxQ
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