元風俗嬢という設定にしたことで誰にも媚びらず、しかし人の思いを素直に聴き取ろうとするちひろの人物像に深みが生まれている。屈託のない笑みと誰をも受け入れる人柄は、彼女が素直に愛されなかった育ちが影響していることが次第にわかってくる。だからこそ彼女は野良猫にも、ホームレスのおじいさんにも、親と分かりあえない小学生や高校生にも、病院に入院しているバイト先の主人の母親にも優しい。そして彼ら彼女らもちひろの優しさを受け入れていく。血の繋がっていない人との繋がりこそ大切なんだとちひろは言っているようにも思えてくる。まるで現代の天使のように。だから、「ちひろ」ではなく「ちひろさん」なのでしょう。難しい役どころだが、有村架純の好演が光っている。
