この程度のシナリオでもそれなりの見応えを創り出してしまうあたり、やはり演出力の確かさを認めないわけにはいかない。何よりもテレンス・スタンプの佇まいがよい。最初のアップカットから印象的で、目を離せなくなる。
時折差し挟まれる若き日の回想シーンは、いったいどこから持ってきた映像なんだろう?と下世話な興味を掻き立てられるが、おお『コレクター』と同じヘアスタイルではないか、などとなんだか嬉しくなるのも確か。
短いクロスカッティングで時制をずらしていく手法も、単調なプロットにアクセントを生む。特に、ピーター・フォンダを狙撃する妄想の主観映像を重ねていくパーティでのシーンが印象深い。
フォンダの豪邸にしても、ラストのコテージにしてもシチュエーションが魅力的。フォンダたちを追う途上、スタンプが海を眺めるシーンもなかなか佳い。