緑雨

カラーパープルの緑雨のレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
3.5
前半部の状況の過酷さ非情さは、観ていて鬱々とした気分になってくる。そんな中でも微かな喜びや希望の表現としてミュージカルシーンが置かれているのだろうけど、状況の暗澹さの方が勝ってしまいあまり入ってこない感じ。

中盤、セリーがミスターに嫁がされて以降は、ソフィアやシャグとの出会いを通じて自立して闘う勇気を得ていく物語となるのだが、どうもその成長譚がメリハリを欠いている印象で、ソフィアとシャグのキャラクタ(性格)が被りすぎているような気もして、あんまり演出がうまく効いていない。

終盤に至っては、さすがに全てが都合よすぎないかという感じだが、それでもやはり大団円には感動する。こうした一発大逆転的な爽快さがウケるというのは理解するが、自分としては、あのように厳しい始まり方をした物語なら、どこかしら苦味を最後までキープしてほしいとも思ってしまう。

ミュージカルシーンは、観ている最中は水準級と思ったが、全体に後に残るほどの印象深さには至らず。最後の庭園でのパーティシーンは圧巻と思うが。画面がビスタサイズというのもちょっと残念。
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