緑雨さんの映画レビュー・感想・評価

緑雨

緑雨

古今東西、ジャンルこだわらず。年齢のせいか、量を観るのはつらくなってきた…

映画(202)
ドラマ(0)

阪急電車 片道15分の奇跡(2011年製作の映画)

3.8

テレビ畑の監督だけにベタな演出も散見されるが、中谷美紀と宮本信子の凛とした佇まいと爽快なダイアログが心地よい。電車内のシートにしても、駅のベンチにしても、相対するのではなく横に並んで会話するのが好いの>>続きを読む

ベスト・フレンズ・ウェディング(1997年製作の映画)

5.0

シーンが切り替わるタイミングで映し出されるロングショットがどれも綺麗だし、高層ビルの谷間を流れる川を下る遊覧船からの光景も気持ちいい。”都市の美しさ”をうまくとらえた映画だとも言える。

何度も観てる
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リメンバー・ミー(2017年製作の映画)

4.5

メキシコの「死者の日」は『007 スペクター』のオープニングでも設定に採り上げられていた。宗教的意味が「お盆」とほぼ同じなので日本人の観客には馴染みやすい風習である上に、ラテンならではの陽気さがあいま>>続きを読む

のぼうの城(2012年製作の映画)

3.8

冒頭の高松城水攻めから市川秀吉の怪演で掴みばっちり。佐藤浩市が馬で城下の田園を駆け回り地勢を知らしめる。それが後段の城攻め合戦の状況描写に生きてくる。

城に乗り込んでくる敵方大将格との交渉場面が最高
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ルーム(2015年製作の映画)

3.5

暗がりで見えづらい画面の中、徐々に状況が明らかになっていく前半から、中盤の脱出劇にかけてのサスペンスとアクションは相応に見応えがある。
が、後半は凡庸。一連の出来事を、母親視点で語るのか、息子視点なの
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トゥルー・グリット(2010年製作の映画)

5.0

大傑作。活劇として、ロード・ムービーとして、バディ・ムービーとして、あらゆる面で高次に楽しめる。そして何より会話劇としての面白さ。

「deal:取引」の映画。冒頭のヘイリー・スタインフェルドによる価
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ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)

3.8

ちょっとカット細かく割りすぎじゃないの?と心配になってしまうくらいだが、絶妙な編集手捌きでハイテンポが維持され、長尺も中だるみなし。まあ『ソーシャル・ネットワーク』を撮ったフィンチャーならこれくらい出>>続きを読む

バリー・リンドン(1975年製作の映画)

3.5

ブラピをアホヅラにしたようなライアン・オニールのビジュアルが、卑しくも逞しいバリーのキャラにマッチしている。

あらゆるシーンでまず衣装装丁に目が行ってしまう完璧な時代考証といい、主人公の野卑さといい
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ツリー・オブ・ライフ(2011年製作の映画)

3.8

こんなにも美しいのに、こんなにも息苦しいのは何故だろう。そして、あんなに息苦しいのに懐かしく、赦しを受け入れてしまえるのは何故だろう。人生の普遍が見事に映像化されている。

ブラッド・ピットだショーン
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パリ、テキサス(1984年製作の映画)

5.0

テキサスからロスへ、ロスからテキサスへ。一往復の空間的移動に付き合うことで、彼等一家の長く辛い人生、時間を一緒になって辿ることができる。そんなロードムービー。

同じテキサスでも、始まりは荒涼とした砂
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エレファント(2003年製作の映画)

4.5

写真部の生徒と金髪の生徒が廊下で出会い、言葉を交わして写真を一枚撮る。その傍らを図書室の手伝いに向かう女子生徒が走り過ぎる。

それだけ。ただそれだけの場面が3つの異なる時制、異なるアングルから映され
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戦火の馬(2011年製作の映画)

2.0

冒頭、大空撮にジョン・ウィリアムズの大仰な音楽が被さった時点で嫌な予感はしたのだが…

父親が何故あそこまで入れ込んで馬を競り落としたのかも、ジョーイが何故突然荒地を耕し始めたのかも、従軍医師が何故心
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流れる(1956年製作の映画)

5.0

好きな映画は他にもたくさんあるが、出来の素晴らしさという点ではこれまで観てきた一千本以上の映画の中でも一番かもしれない。感服。

高峰秀子が若い芸妓に小言を言っているファーストシーンから、ただならぬク
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マイマイ新子と千年の魔法(2009年製作の映画)

3.5

今は畑以外に何もない場所だけれど、一千年前に国衙として栄えた土地の記憶が息づいている。そのモチーフに心掴まれる。

妹が行方不明になる件りまで、ほとんど『トトロ』だな、と眺めていたのだが、物語はそこか
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SUPER 8/スーパーエイト(2011年製作の映画)

3.0

「映画内素人」と「映画内女優」を見事に演じ分ける”メタ”女優エル・ファニングの資質と完成度は末恐ろしい。

そんな彼女の独壇場となる駅での撮影シーンは、その後に起こる大惨事への予感も漂い神秘的なまでの
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シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

3.5

これぞ映画にしか創ることのできない世界。
一見B級っぽい態をして、ギレルモ・デル・トロは、実に周到にバランスをとって作品世界を構築している。

階下の劇場やティール色のキャディラックなど古き良き時代の
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J・エドガー(2011年製作の映画)

3.8

史上初めて「男同士の痴話喧嘩」を本気で描いた映画とも云えるかもしれない。
しかしまさかイーストウッドがこんなに切ない同性愛映画撮ることになるとはなぁ。年老いてもなお、二人して競馬に出かけ、食事を共にす
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幸せへのキセキ(2011年製作の映画)

3.0

鄙びた動物園に佇み、ゆったりと身体を動かすトラやライオンやダチョウやグリズリーが織り成す長閑な空間に、相変わらず眼差しが優しすぎるほど優しいキャメロン・クロウが描く愛すべき人間模様が重なって生み出され>>続きを読む

猿の惑星:創世記(ジェネシス)(2011年製作の映画)

3.0

物足りないところ、ツッコミたくなるところは多々あれど、最後まで中だるみなく引っ張っていく牽引力は評価できる。特に前半部がよい。

束の間の「家族の幸せ」にふいに浮かび上がる不穏さ(国立公園ですれ違った
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ロシュフォールの恋人たち(1966年製作の映画)

4.5

チャキリスらイベント屋が移動するオープニングシークェンスから、心地よき豊穣なる夢の世界へと誘われる。明るくて、柔らかくて、のどかで。

ドヌーヴ&ドルレアックの双子姉妹も悪くないが、むしろその周囲の人
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最強のふたり(2011年製作の映画)

3.5

主演二人の笑顔がよい。特に表情でしか演技できない制約を背負ったフランソワ・クリューゼが心から楽しんでいる笑顔でみせる幸福感。

作劇も演出もあまりにオーソドックスで、劇伴の選択も開き直ったくらいにベタ
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ゴースト/ニューヨークの幻(1990年製作の映画)

3.5

B級エンタメと言ってしまえばそれまでだが、勧善懲悪の作劇のキモをしっかり押さえているので観る者を惹きつける力がある。
悪役は徹底的に下衆だし、ヒーローは劇中で成長する。ヒロインはとことん健気。そして、
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運命じゃない人(2004年製作の映画)

4.5

時制制御と視点転換で一つの物語を重層的・複眼的に見せていく、というアイデアはけっして斬新なものではない。むしろ最近では少々見飽きてきて食傷気味なくらい。だが、この作品はそういったアイデアだけの映画では>>続きを読む

淵に立つ(2016年製作の映画)

3.5

モンスター浅野忠信にじわりじわりと家族が侵されていく予感が充満する居心地の悪さ。そして、彼が登場する以前から、この家族に漂う不安定さをオープニングから空気で解らせる演出の冴え。よろめく美魔女・筒井真理>>続きを読む

ブロークバック・マウンテン(2005年製作の映画)

3.5

あえて伝わりづらい”愛”を描き、”大っぴらに言えない”生き様を表現する。

大自然の中で繰り広げられる無力な人間たちの営みは、どこまでも抑制的なタッチで描かれる。その抑制ぶりもあいまって、主人公二人の
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別離(2011年製作の映画)

4.0

伏線があまりにさりげなさ過ぎて、気を抜いて観ていると見逃してしまいそうなほど繊細なサスペンス・ミステリである一方、脚本もディレクションも観客に媚びない厳しく重厚なドラマ性を持つ。

個人と共同体(家族
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ゴーストライター(2010年製作の映画)

4.0

終始どんよりとした鉛色の色調で統一。曇天映画好き(?)には堪らん。

船着き場におけるフェリーが、極めて映画的な場であることを実感する。冒頭、一台だけ取り残されたBMW。ゆっくりと開閉するハッチ。着岸
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コンテイジョン(2011年製作の映画)

3.8

パンデミックパニックを題材とした映画は数多あるが、ここまで抑制を利かせて見せるのは珍しい。非映画的とも言えるのが、ここでは奏功している。
3·11直後の沈鬱で切迫した空気を体感している身には、これくら
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コクリコ坂から(2011年製作の映画)

3.8

団塊世代、元・文化系学生の脳内美化された青春自慢をジュニア世代が映像化…などと憎まれ口の一つもききたくなるくらい、健全。でもこの世界に心地よさを感じてしまったことは悔しいけど否定できない。
「全学討論
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恋の罪(2011年製作の映画)

3.8

大方斐紗子の怪演!食卓のシーンのイカレっぷりには、あまりの嬉しさに思わず声を上げそうになってしまった。
神楽坂恵が全裸で鏡に向かい「いらっしゃいませー」「ソーセージいかがですか」「おいしいですよー」っ
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奇跡(2011年製作の映画)

4.0

「爆発してるんやで。こんなとこ普通に住んでるなんて意味わからん。」
火山灰への態度は前田航基の抱える淋しさや不満の象徴。拭いても拭いても降り積もる。外干しした海水パンツは灰まみれ。

そんな彼も、そう
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おとなのけんか(2011年製作の映画)

3.0

ヴァルツの携帯が鳴るタイミングには笑わせてもらったし、ゲロの破壊力には震えたが、全体に新味なく今更感。四者四様のキャラの裏表は全くもって想定の範囲内。ケミストリーが足りないし、もっと露悪的でいい。とこ>>続きを読む

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)

4.0

英雄といえども、実はごく普通の人間でしかない。が、やはり選ばれた人間だからこそ英雄になれるのだ。そんな英雄観が、少しだけ人と違った少年時代からの生い立ちの回想と、まったく特別なことは起こらないヨーロッ>>続きを読む

ひまわり(1970年製作の映画)

4.0

15年ぶりに再見し、この映画を悲恋についての映画だと思って観ると本質を見誤ると感じた。戦争という要素が思った以上に重きを占めている。タイトルは「ひまわり」、そしてあの一面のひまわり畑の下に何が埋まって>>続きを読む

裏切りのサーカス(2011年製作の映画)

3.5

昔懐かしい諜報戦を硬質な手触りで描くタッチには見応えを感じるが、今更東西冷戦期を描くとなるとノスタルジーの味わいが入り込むのは仕方ないところか。シーンの割り付けが少々忙しく、展開がややわかりづらい。>>続きを読む

一枚のハガキ(2010年製作の映画)

3.0

大竹しのぶの凄味には感服するが、それだけが突出していて全体としてバランスを欠いているような気もする。
六平直政を真に愛していたように思える大竹が、再婚相手である弟大地泰仁に対して抱く感情が如何なるもの
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