緑雨さんの映画レビュー・感想・評価

緑雨

緑雨

古今東西、ジャンルこだわらず。年齢のせいか、量を観るのはつらくなってきた…

映画(246)
ドラマ(0)

木と市長と文化会館/または七つの偶然(1992年製作の映画)

3.5

ファーストカットは風に揺れる大木。何の気なしに画面に捉えられるだけなのだが、何故かとても印象的で、なるほどタイトルはこういうことかと一瞬で結びつく。

その後は延々とダイアログが続く。というか、ほとん
>>続きを読む

アニマル・キングダム(2010年製作の映画)

3.5

シャープな画づくり、テンポもいいし、ピカレスクな雰囲気も悪くないが、『ゴッドファーザー』の成りそこないみたいになっているのが実に惜しい。長男には凄みが、次男には狂気が、三男には卑屈さが、主人公にはピュ>>続きを読む

河内山宗俊(1936年製作の映画)

3.5

確かにあの雪の場面だけはタッチが独特でハッとさせられる。ハリウッド映画、フランク・キャプラのような。そして、ほとんど綿毛が降ってるような雪はフェリーニかよ、とも。最後の狭い水路でのアクションシーンとい>>続きを読む

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

4.8

「ゾンビ映画」の映画だ、という程度の予備知識で観た。それでちょうどよかった。

冒頭37分の映像は、やたらと緊張感があるわりにはグダグダで、何だこれはと椅子を蹴って帰りたくなるほどの出来。一方で、この
>>続きを読む

上意討ち 拝領妻始末(1967年製作の映画)

4.0

組織(家)の理屈と個人の尊厳との相克という江戸期以降の日本社会で最も人心に響くドラマ要素を端正に描出。三船の達観した演技は、彼のベストアクトではないか。

組織サイドの理屈を余すところなく体現する神山
>>続きを読む

東京物語(1953年製作の映画)

4.5

ロードムービーでありながら「移動」を一切描いていないことが強く印象付けられる。物語は尾道で始まり、描かれない大阪を経て東京へ、いったん熱海、東京に戻って、再び大阪を経て尾道に戻って終わる。が、移動の描>>続きを読む

ヒーローショー(2010年製作の映画)

3.8

前半、「事件」が起きるまでの展開はテンポも抜群に良く、軽妙なノリで引き込む。突如ブラックに暗転するあたりも含め、タランティーノかコーエン兄弟かと思わせるくらい。

福徳は想像通りだが、後藤が案外によい
>>続きを読む

緑の光線(1985年製作の映画)

3.5

デルフィーヌ、映画史上最も面倒くさい女。

ラスト一瞬の救いのために、延々と100分間、癇に障る言動を繰り出し、世間一般とのズレ具合を描き続けるという狂気、というか野心。
孤独という現実を衒うことなく
>>続きを読む

赤い河(1948年製作の映画)

3.5

牛、牛、牛…圧倒的な物量。赤い河を渡る場面は奇跡のような撮影に驚嘆する。しかも馬車への車載カメラを駆使する先進性。焼印、ブレスレット、入れ歯など、ガジェットの使い方が巧い。

ジョン・ウェインの狂気は
>>続きを読む

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

3.8

十数年ぶり再鑑賞だが、雪のガソリンスタンドでのラストシーンだけは強く印象に残っていた。全てのシーンはこのラストのために逆算して作られていたと言ってしまってもよい。話の構造的には『ひまわり』と似ているが>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(1984年製作の映画)

5.0

この情感の漂い方は尋常ではない。一介のちんぴらの一代記が大河ドラマの香りを帯びる。

いくつかの時代が絡み重なり合う編集の素晴らしさ。冒頭のシークェンスで、電話の呼び鈴がバックで鳴り続ける演出なんて唸
>>続きを読む

晩春(1949年製作の映画)

4.0

デジタル修復版にて再鑑賞。改めて、原節子のキャラクタリゼーションの異様さに瞠目する。小津はもはや原演じる紀子を、一貫した人格として描くことを放棄しているのではないか、という気さえしてくる。しかも極めて>>続きを読む

ロッキー(1976年製作の映画)

4.8

本当の悪人はひとりも出てこない。「熱い」というより「暖かい」という形容詞が相応しい映画。スケートリンクでの短いデートは、史上最高のラブシーン。

カサブランカ(1942年製作の映画)

3.5

今になって観ると、完全なるプロパガンダ映画で、これが名画だと言われてしまうと戸惑ってしまうが、まあそれも時代。

少なくとも自分には、この映画のバーグマンは全く魅力的には見えない。ピンで映るたびに紗が
>>続きを読む

私が、生きる肌(2011年製作の映画)

4.0

問題作というより変態映画。でも変態もここまで上り詰めると立派なもの。性と犯罪、背徳を描き続けてきたアルモドバルがこういった境地に達するのは不思議ではない。

しかし、いくらなんでもバンデラスの感情と行
>>続きを読む

ミッション:インポッシブル2(2000年製作の映画)

3.0

冒頭のハイジャック、タイトルバックのトム・クルーズ崖登り、宝石泥棒からカーチェイスを経てタンディ・ニュートンと接近するまで一連の疾走感は素晴らしい。が、そこから中弛み。

ダグレイ・スコットとの三角関
>>続きを読む

リトル・ロマンス(1979年製作の映画)

5.0

二人が出会い惹かれ合っていく様子がとても自然で、好感が持てる。ハイデッガーなんか読んでる少女と、ひとり映画館に入り浸る少年。二人とも周囲の友達と興味のレベルが合わなくって、たぶんちょっと孤独。家庭環境>>続きを読む

マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー(2018年製作の映画)

4.5

キャスティングの勝利。
リリー・ジェームズは健康的な魅力全開で(逞しい太腿!)その奔放さはメリル・ストリープにつながるといわれると何故か納得してしまう。
「3人のパパ」の若き日も、それぞれに胡散臭いイ
>>続きを読む

八日目の蝉(2011年製作の映画)

3.5

見応えはある。が、演出に驚きが無い。肝心なことはみな台詞で語られてしまうし。井上真央は頑張ってはいるが、この役を演じるにはあまりに屈託が無い。このような壮絶な生い立ちとどう折り合いをつけて生きてきたの>>続きを読む

ラブ・アクチュアリー(2003年製作の映画)

5.0

親友の花嫁に対する秘めた想いを、あろうことか本人に知られてしまい、彼女をひとり残した部屋に戻るべきか戻らざるべきか、道端で煩悶する男。

信じていた夫のまさかの裏切りを悟ったことにショックを受けた姿を
>>続きを読む

マイノリティ・リポート(2002年製作の映画)

3.8

冷静に考えると結構理屈っぽい話なのだが、勢いを削ぐことなく、かといってご都合主義があからさまにならない程度に仕上げているあたり、巧さを感じる。冒頭の間男殺しのエピソードで、アクション交えて犯罪予防シス>>続きを読む

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(2011年製作の映画)

3.0

どことなくスティーブン・キング風というか、いかにもアメリカ文学的なお話で暖かみはあるのだが、ややセンチメントに流れすぎて面白くない。ファンタジックでありながら案外予定調和。「偶然」を「奇跡」にまで昇華>>続きを読む

モテキ(2011年製作の映画)

2.5

怒涛のオープニングから長澤まさみの爆発的破壊力、Perfume登場までの30分は、表現の多様さと疾走感で抜群に楽しいのだが、そこで打ち止め。残りは月9の劣化版みたいで、終演がただただ恋しかった。

>>続きを読む

夕陽のガンマン(1965年製作の映画)

5.0

役者が、音楽が、セットが、カメラが、カット割りが。すべてがカッコイイ!痺れた。
野性を秘めたイーストウッドと、スマートなバン・クリーフ。友情とも呼べないようなクールでドライな二人の関係がよい。バン・ク
>>続きを読む

ミッドナイト・イン・パリ(2011年製作の映画)

3.5

SFファンタジーの手法を軽快なラブコメディに融合し、しかもそれをパリの空気にしっとりと調和させる。簡単なようで、なかなかできるこっちゃない、とは思う。

冒頭、パリの風景ショットのスライドショー。雨上
>>続きを読む

マネーボール(2011年製作の映画)

4.5

「マネーボール理論」、セイバーメトリクスを表現(説明)できているかというと全くできていないのだが、まあよし。人と人が出会い、交わり、通じ合う瞬間の表現が抜群に素晴らしい。

ジオンビの穴埋めに獲得した
>>続きを読む

無法松の一生(1943年製作の映画)

5.0

冒頭、二階屋から移動したカメラが映し出す路地。遊ぶ子供たち、叱る母親。歩いてくる巡査。。この時点で早や心は戦前にタイムスリップ。

芝居小屋の桝席でニンニクを焼く姿に笑い、運動会での徒競走に燃え、少年
>>続きを読む

ハスラー2(1986年製作の映画)

3.5

突く、転がる、跳ね返る、落ちる…プール・ビリヤードのアクションをこんなにも流麗洒脱な映像に仕上げていることがまず素晴らしい。

そして、はじめは経験豊かなアドバイザーに徹していたのに、やんちゃな弟子が
>>続きを読む

トゥルー・ロマンス(1993年製作の映画)

4.8

寒空の下、屋上のビルボードの前に座って二人が互いの気持ちを告白しあう場面が素晴らしい。シチュエーションもダイアログもBGMも情感に溢れてる。このシーンで生み出された「純情」が全編を貫く。だからこそ、こ>>続きを読む

ミリオンダラー・ベイビー(2004年製作の映画)

4.8

誰かに対して本気で優しくするとは、かくも過酷で壮絶なことなのか。上映終了直後はその重たい余韻にいたたまれない気分だったが、暫く時間が経って湧いてきたのは「自分の身近にいる大切な人に優しくしなければ」と>>続きを読む

マイ・バック・ページ(2011年製作の映画)

4.0

松山ケンイチの怪演が引っ張る引っ張る。ファナティックなんだか、計算づくなんだかわからなくなる不気味さが絶品。

時代考証的には微妙なんじゃないかと思わされるところもある(妻夫木クンのセリフ回しとか)が
>>続きを読む

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー(2018年製作の映画)

3.5

チューバッカやミレニアム・ファルコンとの関係の起源が描かれてしまうと、やはり一通りシリーズを観てきた者には沸き立つものはある。
が、それ以上に、かつての名画で描かれてきた話法がスターウォーズの世界に反
>>続きを読む

機動戦士ガンダム III めぐりあい宇宙編(1982年製作の映画)

4.5

小学生の頃、この3作目だけは劇場で観た記憶がある(確か、今は無き赤羽オデヲン座で)。
当時、ララァというキャラクタがどうも好きになれなかった。突然物語に現れ、わりとすぐに退場するにも関わらず、アムロと
>>続きを読む

機動戦士ガンダム II 哀・戦士編(1981年製作の映画)

4.0

テレビシリーズの中間部を切り取っているから当然だが、物語の途中で始まって途中で終わっている。だからこそロードムービー感が強い。
偶然ホワイトベースで一緒に戦うことになった面々が、数々の苦難と確執を乗り
>>続きを読む

機動戦士ガンダム(1981年製作の映画)

3.8

HDリマスター版にて数十年ぶりの再鑑賞。
小学生時代にテレビシリーズは一通り観ており、この劇場版もその後観たはずだが、ガンプラからガンダムに入った身にはモビルスーツのバリエーションが乏しいこの1作目は
>>続きを読む

万引き家族(2018年製作の映画)

3.5

悲しい話だが、もはや現実が映画の世界を超えてしまって、この映画も現実を後追いしているとしか感じられなかった。なので作劇には思うところはない。ただただ演技と演出の濃密な熟練に見入るのみ。
いつもの是枝組
>>続きを読む

>|