緑雨さんの映画レビュー・感想・評価

緑雨

緑雨

古今東西、ジャンルこだわらず。年齢のせいか、量を観るのはつらくなってきた…

映画(271)
ドラマ(0)

フィールド・オブ・ドリームス(1989年製作の映画)

3.5

高校生時分、劇場公開時以来25年ぶりの鑑賞だったが、当時は印象に残らなかったことがいろいろと目につき、新鮮だった。こんなに甘いファンタジーが映画として成立してしまうのも80年代という時代の為せる業だな>>続きを読む

素晴らしきかな、人生(2016年製作の映画)

3.5

やたらと豪華キャストで、クリスマスシーズンのニューヨークを舞台に哀しくも暖かい心に染みる演技の応酬がある繰り広げられる。ドミノ倒しが抒情的で印象深いし、ウィル・スミスが自転車で疾走するいくつかのシーン>>続きを読む

もののけ姫(1997年製作の映画)

3.5

腐海は森に、蟲はイノシシに、巨神兵はタタリ神に。ナウシカとの相似性を指摘するのは容易い。憎しみの増幅が破壊へと至る構図も同じ。
一方で、主人公の役割はアシタカとサンに分裂し、エボシのパーソナリティはク
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リバー・ランズ・スルー・イット(1992年製作の映画)

3.8

序盤から今にも悲劇的なことが起こりそうな不穏な緊張感が漂いながら何も起きず、ラストで静かな衝撃をもたらす。レッドフォードの演出は実に胆力がある。

ブラッド・ピットの切ないまでの輝きは絶品で、この作品
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ホーム・アローン(1990年製作の映画)

2.5

マフィア映画の音声を利用してピザ屋をビビらせる件りはよかったが、二人組が侵入してからはただドタバタしているだけで大して笑えない。主人公にしても家族にしても、筋の都合でキャラが一貫せず右往左往する雑さが>>続きを読む

バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

3.5

後半はただ料理して給仕して食べているだけなのにすごく面白い。もちろん、料理を作る、食べるという営み自体がもともと映画的な所業であるのだが、素材を作品に仕上げていく過程の見事さや、食す人々の素朴な驚きや>>続きを読む

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

4.0

2時間超の尺で決して短い映画ではないのだが、もっと長くてもいいのでさらに描き込んで欲しい、観ていたいと思わされるものがある。恋人ルーシー・ボーイントンとの出逢い、バンドの結成、”Bohemian Rh>>続きを読む

リンダ リンダ リンダ(2005年製作の映画)

3.5

『アメリカン・グラフィティ』ならぬ”ジャパニーズ・JK・グラフィティ”。未だ世間の荒波に晒されていない、女子高校生たちの生態(要はダラダラとした日常)が紛うことなくフィルムに焼き付けられている。

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七年目の浮気(1955年製作の映画)

3.5

室内・少人数・超長尺のシーンをこれだけ延々と見せられると、一つの芸だなとは思わされる。イーウェルは卑屈で鼻につくし、モンローは可愛いがいくらなんでもバカっぽい。それでも観られてしまうのは、パドル、植木>>続きを読む

トゥルーライズ(1994年製作の映画)

3.8

劇場公開時に観たはずだが、25年ぶりに再鑑賞して微かに記憶に残っていたのはクライマックスの高層ビルの窓越しにハリアーが登場する場面くらい。こんなにコメディ色の強いユルいアクション映画の印象もなかったの>>続きを読む

ブロンコ・ビリー(1980年製作の映画)

3.0

こういうセンチメンタリズムはあまり趣味ではないのだが、イーストウッドが私的な願望と美学をむき出しにしてまったく衒いないところには好感を抱く。正直ソンドラ・ロックのどこに魅力があるのか理解に苦しむのだが>>続きを読む

アンストッパブル(2010年製作の映画)

3.8

ここでの無人貨物列車は、思いの外「暴走」しているようには見えない。が、その適度な「速さ」、そして圧倒的な「質量」や想像をやや超える程度の「長さ」が、しっかりとその存在感を画面に植え付けている。

デン
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天国と地獄(1963年製作の映画)

4.8

前半と後半では全く別の映画。前半はほぼ権藤邸の室内のみで繰り広げられる心理サスペンス。特急こだまでのライヴ感溢れる身代金アクションを挟み、後半は主役が警察に移り一転じりじりとした時間の流れの中でパズル>>続きを読む

隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)

4.0

オープニングの荒野、隠し砦の在る瓦礫の斜面などの印象深いロケーション。序盤の捕虜暴動、前衛的な火祭りなど大規模なモブシーン。そして街道での決死の馬上殺陣!
シネマスコープを活かした迫力ある画面の連続に
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ロング・グッドバイ(1973年製作の映画)

4.0

プロットだけ採り上げればまったくつまらない探偵モノなのだが、それでもこんなにカッコよくって印象深い映画になるのだ。冒頭、深夜にキャットフードが切れて買いに行くというだけのエピソードでも目が離せないんだ>>続きを読む

ファントム・オブ・パラダイス(1974年製作の映画)

3.8

カルトに傾斜した、気合いの入ったパロディという路線を切り拓いたという点で、映画史上画期と言える作品なのではないか。タランティーノも三池崇史も影響を受けているのだろう。

ファントムの顔が崩れる件りの発
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赤線地帯(1956年製作の映画)

3.0

社会状況や価値観があまりに前時代すぎて今となっては物珍しく観るしかないのだが、「夢の里」の案外モダンな店の造りと奥行きを意識した宮川カメラの構図取り、京マチ子の捨て鉢なキャラ造形が印象深い。

それに
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東京暮色(1957年製作の映画)

4.5

デジタル修復版にて再観賞。

最初から最後まで愛想笑い一つ浮かべない有馬稲子、延々と髪にブラシをかけながら、視線を合わせず原節子と殺伐とした会話を交わす姿の厳しさ。

妻に逃げられた父、幸せな結婚に失
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マークスの山(1995年製作の映画)

2.8

これがあって、その後『血と骨』がある、と考えるとなんとなく納得できる。暴力、セックス、遺体の生々しさ…崔洋一の変態性が垣間見られる。

が、ハードボイルドミステリでこれやっちゃうと何が何だかわからなく
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マレーナ(2000年製作の映画)

3.8

嫉妬や偏見、集団虐めなど人間の嫌な面を暴いているが、どこかあざとく思えてしまうのは人物に対する描き込みがいまひとつ浅いせいだろう。それより何より、改めて観ると素晴らしい画面に溢れた映画だ。
シチリアの
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バーバー(2001年製作の映画)

4.0

巻き込まれサスペンスの緊張感が絶えず漂いながら、自身の数奇な運命を客観的に眺めているかのような突き放しっぷり。そのバランスが妙味で、モノクロ映像に差し込む光線や揺蕩う紫煙が美しい。

常に淡々とした主
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プレデターズ(2010年製作の映画)

1.5

導入部の惹き込みは秀逸。が、せっかくこれだけキャラクタを揃えながら絶望的に生かせていない。ヤクザとサムライの混同はご愛嬌としても。地球そっくりの地球外惑星という舞台もだから何なの?だし、何より敵がキモ>>続きを読む

バルタザールどこへ行く(1964年製作の映画)

3.0

突き離した視点でロバの一生の断片を重ねることで、胸糞悪い人間という生き物の罪深さが浮かび上がるという語り口の画期性。物語としては人間関係が極めて解り難く観ていて苦痛だが、もはやそんなことは超越してしま>>続きを読む

オリバー!(1968年製作の映画)

3.5

オープニングの救貧院のシーンがあまりにつまらなくてどうしようかと思ったが、ロンドンに出てから俄然良くなる。マーク・レスターがジャック・ワイルドと出会っての、街中での大モブ・ミュージカルシーンが楽しい。>>続きを読む

ロング・キス・グッドナイト(1996年製作の映画)

3.5

封印された本性(本能)が見え隠れする主人公のキャラ設定はかなり面白い。これを演るならジーナ・デイヴィス以外に考えにくいし、水車小屋でデヴィッド・モースにいたぶられるシーンなど、オンリーワンな魅力がある>>続きを読む

木と市長と文化会館/または七つの偶然(1992年製作の映画)

3.5

ファーストカットは風に揺れる大木。何の気なしに画面に捉えられるだけなのだが、何故かとても印象的で、なるほどタイトルはこういうことかと一瞬で結びつく。

その後は延々とダイアログが続く。というか、ほとん
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アニマル・キングダム(2010年製作の映画)

3.5

シャープな画づくり、テンポもいいし、ピカレスクな雰囲気も悪くないが、『ゴッドファーザー』の成りそこないみたいになっているのが実に惜しい。長男には凄みが、次男には狂気が、三男には卑屈さが、主人公にはピュ>>続きを読む

河内山宗俊(1936年製作の映画)

3.5

確かにあの雪の場面だけはタッチが独特でハッとさせられる。ハリウッド映画、フランク・キャプラのような。そして、ほとんど綿毛が降ってるような雪はフェリーニかよ、とも。最後の狭い水路でのアクションシーンとい>>続きを読む

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

4.8

「ゾンビ映画」の映画だ、という程度の予備知識で観た。それでちょうどよかった。

冒頭37分の映像は、やたらと緊張感があるわりにはグダグダで、何だこれはと椅子を蹴って帰りたくなるほどの出来。一方で、この
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上意討ち 拝領妻始末(1967年製作の映画)

4.0

組織(家)の理屈と個人の尊厳との相克という江戸期以降の日本社会で最も人心に響くドラマ要素を端正に描出。三船の達観した演技は、彼のベストアクトではないか。

組織サイドの理屈を余すところなく体現する神山
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東京物語(1953年製作の映画)

4.5

ロードムービーでありながら「移動」を一切描いていないことが強く印象付けられる。物語は尾道で始まり、描かれない大阪を経て東京へ、いったん熱海、東京に戻って、再び大阪を経て尾道に戻って終わる。が、移動の描>>続きを読む

ヒーローショー(2010年製作の映画)

3.8

前半、「事件」が起きるまでの展開はテンポも抜群に良く、軽妙なノリで引き込む。突如ブラックに暗転するあたりも含め、タランティーノかコーエン兄弟かと思わせるくらい。

福徳は想像通りだが、後藤が案外によい
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緑の光線(1985年製作の映画)

3.5

デルフィーヌ、映画史上最も面倒くさい女。

ラスト一瞬の救いのために、延々と100分間、癇に障る言動を繰り出し、世間一般とのズレ具合を描き続けるという狂気、というか野心。
孤独という現実を衒うことなく
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赤い河(1948年製作の映画)

3.5

牛、牛、牛…圧倒的な物量。赤い河を渡る場面は奇跡のような撮影に驚嘆する。しかも馬車への車載カメラを駆使する先進性。焼印、ブレスレット、入れ歯など、ガジェットの使い方が巧い。

ジョン・ウェインの狂気は
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シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

3.8

十数年ぶり再鑑賞だが、雪のガソリンスタンドでのラストシーンだけは強く印象に残っていた。全てのシーンはこのラストのために逆算して作られていたと言ってしまってもよい。話の構造的には『ひまわり』と似ているが>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(1984年製作の映画)

5.0

この情感の漂い方は尋常ではない。一介のちんぴらの一代記が大河ドラマの香りを帯びる。

いくつかの時代が絡み重なり合う編集の素晴らしさ。冒頭のシークェンスで、電話の呼び鈴がバックで鳴り続ける演出なんて唸
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