河合優実ちゃんだけがスクリーンに映っていればいい、とさえ思えるシーンがいくつもあった、美しかった
彼女は今作背中で演技するわけで、そのシーンがこの映画の最高のシーンの一つであり、ともすれば背中を見るのさえ苦しくなった僕はいよいよ彼女の直視できるところが一つもなくなってしまう
余計な説明を省略し、そこに女優がいるそれだけで役をも超越した1人の人間としての内省する姿が伝わってくる、さらに言えば観客がそれを理解する、これは稀有なことだし驚くべきことだろう、そこまで思わせる女優なのだ
さらに、高校生が毎日同じ場所で、同じような人間と同じことをして過ごすこの制約されきった時間が、この作品の軸となりそれをもって時間が映画に定着する感覚をも味わうことができる
浅井リョウは常に登場人物誰かしらに共感できる構造を作りつつも、作者の自分は俯瞰して見ている気がしてうまい、意図してなのか、なんか伝わってくるこの感情、うまい、この話は登場人物同士が交錯することも思想をぶつけ合うこともしない、うまい、桐島と並ぶ二大青春金字塔映画に
思ったよりキラキラ映画ではあるけど好きって感情に素直になろうと思う、傑作映画はみんな青春映画だから（サマーフィルムのブルーハワイ見習って）
ただ相手男性たちの感情描写がほとんどないという割り切りに彼女たちの誠実な想い、折り合いのつけ方の説得力が増す、特異な映画でもある
最後の河合優実ちゃんの息遣いに息を飲み、この映画にのめり込んでしまっている自分に気づく、いつしか人生を重ねていることに
映画には間違いなく人生があり、出会うべくして出会った、僕を形作る映画だ、と思える瞬間に立ち会うために今日も映画館に向かう
この日は外出自粛が出る大寒波の日、この熱を冷ますのにはちょうどいいくらいに寒かった、春はもうすぐそこかもしれない
