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夜明けのすべてのスのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
5.0
卓球、コピー機、キャッチボール、反復する音の心地よさ、光の繊細さ、夜の静けさ

観ている者が身体を熱くするタイミングで、映画に置いてけぼりにされないように映像を繋ぐ三宅監督のズルさが今作にも、涙堪えて観てたし大袈裟にこの映像じゃなければ成り立たないだろうとすら思う瞬間もあった、特に三石研

プラネタリウムは擬似的に宇宙体験をするという意味でフィクションであり、放送部が撮影するドキュメンタリーも編集をしている点ではフィクションであると思うし、映画もまたフィクションだろう
だだそれと同時に残す、人の心に刻まれるという意味ではどこかリアルを感じる時間があるし、僕はこの映画のことを出会うべくして出会った映画だと思えたように、些細な仕草や声、音によってその人の人生が映る瞬間を真実性を孕んだ信じたいものとして観た気がした

助けられる、助けてもらう、そのほんの少しの余白を備えていることが優しさであることを教えてもらい、紛れもなくその優しさがこの映画の救いであった
半径1メートルの物語であり、映らない優しさに包まれすぎて、救いの光が本当に心地よい光だった
人生を変える出会いはロマンチックでもドラマチックでもなく特に長く続く必要もない

映画館を出て外は寒かった、春はまだもう少し先か、この火照った身体を冷ますのにちょうどいい季節が大好きだ、僕たちはまた星を見上げることから始めた方がいいらしい
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